'21宙組『バロンの末裔|アクアヴィーテ!!』福岡公演の記録

29歳、生まれて初めてひとりで飛行機に乗り、行って来ました福岡市民会館

桜木さんに一目惚れした後「間に合いたかった…」と一番に後悔した作品が『アクアヴィーテ!!』だったので、今回遠征しないという選択肢はなかった。それにしても宝塚はわたしのフットワークをどんどん軽くするな…。

今回は12月4日ソワレ、12月5日マチソワと計3公演を観劇。久々のマチソワ観劇だったからか、はたまた福岡市民会館の座席が硬かったのか、無事お尻の感覚は無くなりましたが最高の時間でした。

 

以下、あらすじと感想。ネタバレあり。

f:id:ma_waremiracle:20211207181346j:image

 

 

あらすじ

400年の歴史を誇るボールトン男爵家の当主・ローレンス(真風涼帆)は穀物相場に手を出した結果、屋敷も領地も借金の抵当に入れてしまった。ローレンスの双子の弟・エドワード(真風涼帆)は屋敷と領地を守るため奔走する。そして、エドワードは幼なじみでローレンスの婚約者でもあるキャサリン(潤花)に、ローレンスとの婚約を解消するよう助言するのだが…。

 

印象的なシーンと感想

バロンの末裔

  • 冒頭、ローレンスがエドワード宛の手紙を書いている背後に執事のジョージ(寿つかさ)の姿が。スクエアフレームの眼鏡にパリッとした制服がとてもお似合いで、素晴らしいキャスティング…と拝んだ。
  • オープニングでキャサリン(潤花)が階段上からローレンスを優しい眼差しで見つめているところ、まさに"女神の微笑み"で最高。
  • ウィリアム(瑠風輝)が登場した際、あまりにも脚が長いので双眼鏡で覗く前からもえこちゃんだとわかった。大劇場ホームズではポーロックに狂わされていたヲタク、立ち姿から声の出し方まで全く違うもえこちゃんの振り幅に腰を抜かす。
  • 0番にリチャード(桜木みなと)が立った瞬間、スタンディングオベーションしそうになった。軍服姿が破茶滅茶に格好良い!純白もパステルピンクも似合うのに、カーキの軍服まで着こなしちゃうの最高!パーソナルカラーは麗人を前にしたら無力なんですよ、ええ。

 

  • リチャードが夢を叶えるために500ポンド貸して欲しいとエドワードに頼むシーン。20世紀初頭の500ポンドが果たしてどれくらいの価値なのか調べてみたところ、現在の日本円換算で2500万円前後とのこと。
  • そんな大金を友人から借りようとするリチャードの非常識っぷりにもびっくりするが、「兄の死を祈ったりするなよ」と嗜めるだけで「絶対に貸すかバーカ!!」とならないエドワードに、マジの金持ちなんだな…となった。
  • エドワードが去った後、威嚇する猫のような表情で「死ねー!!!」と小声で叫び、十字を切って真剣にお祈りをするリチャード。めちゃくちゃ不謹慎なのだが、人間味が溢れていて何だか可愛いのよね。これが"贔屓目"ってやつ?

 

  • エドワードがボールトン家の屋敷に到着すると、使用人たちがお出迎え。ここで使用人一人ひとりの名前を言っていくエドワードと、嬉しそうな使用人たちの表情がとにかく素敵。エドワードの人望の厚さが伺える。
  • 執事たちと一緒にエドワードを迎えるキャサリン。このシーンでキャサリンが着ている目の覚めるようなサマーグリーンのスレンダードレスがとっても可愛い!潤花ちゃんのスタイルの良さが際立つ。
  • エドワードとキャサリンの背中に向かって、「俺、ヘンリー!」と新入りの雑役ヘンリー(亜音有星)が自己紹介をするのも可愛い。特におかしなことは言っていないのだが、いちいち馬鹿でか声で話すヘンリーが無邪気でクスっと笑える。

 

  • ローレンスの寝室にて、ローレンスが穀物相場に手を出して失敗したことで、屋敷も領地も抵当に入ってしまったことを告白され、絶望するエドワード。
  • エドワードに振り解かれたローレンスが「あ痛!」とベッドから落ちてみたり、シリアスな場面でもクスッと笑える台詞を入れるのが本当に上手い。正塚作品は笑いのセンスが良いし何よりテンポが良いなと思った。
  • あまりお兄様を責めないであげて、とローレンスを庇うキャサリン。なぜ無能な兄が家を継ぎキャサリンと結婚できるんだと苛立ってしまうエドワードの気持ちもわかるし、ローレンスを助けてあげてと懇願するしかないキャサリンの気持ちもわかる。すべては家父長制のせいなのだけど、それにしたって辛い。
  • そんな重苦しい空気の中、ベッドの天蓋の後ろで音もなくエドワードからローレンスに姿を変える真風さんを想像すると、なんだか可愛らしくて少し心が軽くなった。

 

  • エドワードに宛てた手紙を読み返しながら、「あいつ意外と欲深いかもしれないからな〜」とホテルの共同経営者に誘うのはやめようとするリチャード。500ポンドも借りようとしてる身分で何を言ってるんだ…??
  • まどろっこしい!と手紙を書くのをやめてボールトン家のあるスコットランドまで行くのを即決するあたり、リチャードは行動力に全振りした思い立ったが吉日タイプ。江戸っ子かな??(中の人は浜っ子)
  • そこにノックなしで部屋に入ってくるヘレン(山吹ひばり)。「いつでも来ていいって言ったじゃない」のキョトン顔が可愛い〜!そしてそんな予感がしていたの、と旅支度をしていたところを見るに、彼女もまた行動力の化身であることは間違いない。お似合いよ。
  • ずんひばソング、桜木さんの馬鹿でかボイスに負けないくらいひばりちゃんの声が良く通るので、ふたりの声の重なりがとっても綺麗だった。4日のソワレはほぼ天井席だったのだけど、天井揺れてます?ってくらいふたりの声が真っ直ぐ伸びてきて素晴らしかったです。

 

  • 翌朝。どんより顔で屋敷を掃除する使用人たちに、「目には太陽を!唇には微笑みを!」と発破をかけるジョージが素敵過ぎて…落ち込んだら心の中のジョージにこれを言ってもらおうと決めた。最早座右の銘にしたい。
  • 皆が元気に掃除し始めた途端、ソファに座ってサボるケネス(真白悠希)だったが、すかさずジョージに睨まれてヒェッと肩をすぼめるところまで丸っと微笑ましい。

 

  • エドワードから兄のどこが好きなんだと聞かれ「………顔」と真顔で答えるキャサリン。その後、エドワードから「君の幸せを願ってる」と言われ、「こうしてる今も幸せよ、他に何かあって?」とキャサリンは微笑むのだけど、エドワードにこれらの真意は伝わっていない。
  • キャサリンは心の内ではエドワードを愛していて、エドワードと同じ顔を持つローレンスの好きなところを聞かれたから「顔」と答え、エドワードと顔を合わせる瞬間が一番の幸せで、そのためにボールトン家との繋がりが絶たれないようローレンスの妻になる覚悟を決めたのだ。結末を知ってからの2回目以降、このシーンは涙無くして観れなかった。

 

  • ウィリアムを訪ねて来た創業者のトーマス(凛城きら)に、応接室で待つよう伝えるブリンクリー(鷹翔千空)だったが、「ブロッコリー、とか言ったか」「畑に埋めてやる」と強行突破され、続いてシャーロット(愛未サラ)からは「茹でてサラダにされちゃうわよ」ローバック(秋音光)からは「不味そうだ」と畳み込まれる。ブリンクリー、一番まともなのに不憫過ぎる。(とか言いながらこの場面めちゃくちゃ笑ってた)
  • 商談相手のイングリッド(水音志保)が帰ろうとしたところで、「「え!まだお話が終わってませんのに!!」」と息ぴったりなトーマスとウィリアム。経営方針は噛み合わないけど、やっぱり親子なんだな〜と笑ってしまった。
  • シャーロック・ホームズのロイヤルイタリアンオペラのシーンで、見よう見真似で踊るマイクロフトばっかり双眼鏡越しに観ていたくらい「たどたどしく踊るりんきらさん」が可愛らしくて好きなので、まさか今回も観れるとは思わなかった。大感謝。
  • ナンバー中、態勢を崩したトーマスをブリンクリーが支えるも、ウィリアムから肩を叩かれた途端に手を放しトーマスが倒れ込む一連の流れ、ブリンクリーはウィリアムにしか忠誠を誓っていないことが伝わって来て大変良かったです。
  • あと気になったのはイングリッドは何のお店のオーナーなのか。トーマスが鼻の下を伸ばすほどの美人で、「この街の殿方は皆さんお越しですよ」とトーマスを誘い、更にはトーマスがウィリアムを「お前も隅に置けないな」と茶化すってことはキャバレーかな。キャバレーでずっとおどおどしてるウィリアムしか想像できなくてにっこりした。

 

  • 頭取室にやってきたエドワードの顔を見るなり、ローレンスと瓜二つでびっくりしたのか「はっ…!」と声を出してしまい慌てて口を塞ぐブリンクリー。可愛いかよ。
  • エドワードとウィリアムのやりとりからも、ウィリアムの真面目さと誠実さが伺えて大変良かった…流石はちゃらんぽらんな父に「一本気な性格」と言わしめる男。

 

  • ウィリアムとの交渉を終え帰って来たエドワードは、キャサリンに兄との婚約を解消すべきだと話す。しかしキャサリンは頑なに婚約は解消しないと言う。この土地にいられなくなるのならば、せめて人だけでも一緒にいられないかしらと。
  • そこでキャサリンは、小さいころ3人で洞窟に探検に行った話をする。蝙蝠にびっくりして1人逃げてしまったローレンスと、足をくじいてしまったキャサリンをおぶって帰ったエドワード。「あなたは私のお守り役?守ってくれて、ただそれだけ?」とキャサリンは震える声で訴える。
  • あなたにとって私はいつまでも守るべきか弱い幼馴染で、それ以上の存在ではないの?私を1人の女として愛してはくれないの?という訴えなのだけど、ここでもエドワードはキャサリンの真意に気付かず、落ちぶれた貴族の女が娼婦になる話とかしちゃう。(火に油を注ぐな)
  • 「何が不幸か、何が幸せか、あなたにおわかりになって!?」と叫ぶキャサリンにとっての最大の不幸は、エドワードとの繋がりが絶たれること。彼女に残された最善手は、義姉としてエドワードの家族となり、エドワードの帰る場所になること。
  • 両想いなのにここまで拗れてしまうと本当にしんどい…これが愛の地獄…ローレンスが身を引いたら全ては丸く収まるけど、ローレンスはローレンスで純粋にキャサリンを愛している訳だから何も悪くはないのよな…。

 

  • ボールトン家の居間に通されたリチャードとヘレン。ジョージの重々しい喋り方をを真似するリチャードに、「似てる!」とはしゃぐヘレンが仲睦まじい。
  • そこにローレンスが現れ、3人でソファに掛ける。おかしな調子で笑いかけてくるローレンスに、ふたりが「こいつ、大丈夫か…?」という顔をしながら愛想笑いを返すのが可愛い。
  • リチャードが「いっそ死んだ方が楽な時もありますからね」と死ネタをぶっ込んだ直後、ローレンスがソファで死んだふりをして腰を抜かすふたり。「冗談だよ~」と起き上がるローレンスに、221Bでワトスンとハドスン夫人を翻弄する退屈ホームズが重なってしまった。
  • ローレンスの話を聞いて、エドワードが当主になり金を用意するために壺を売ってくれるんだと完全に勘違いしたリチャード。壺を手に取り、そのままヘレンに熱いキスを送る。壺もまさか美男美女に抱きしめられながら熱く長いキスを誰よりも近くで見る羽目になるとは思わなかっただろうに。
  • この後の壺キャッチ、4日ソワレ、5日マチネ、5日ソワレの3公演とも成功していて、ひばりちゃん偉い!!!ってなった。ひばりちゃんは宙組の名捕手です。
  • ローレンスにはヘレンを「友人」と紹介していたリチャードだったが、エドワードにはヘレンを「フィアンセ」と紹介する辺りめちゃくちゃ現金な奴だし、それですっかり上機嫌になるヘレンの純粋さが眩しい。そしてエドワードです、と自己紹介をしながらヘレンが抱えていた壺を回収する姿がシュール。
  • エドワードが当主になるどころか、借金を返すために何もかも売らなくてはならないと知ったリチャードが、恋人との今生の別れのような声で発した「壺ぉ……!」にも笑った。
  • ローレンスがなぜそこまで穀物相場に入れ込んでしまったのか、真実を知りたいと立ち上がるエドワードに、「君は顔を知られているだろうから、僕が動こう」「こう見えても情報部の将校だからね」とヘレンを連れて颯爽と街に出るリチャードの姿は完全に『恋』だった。ここまで徹底的に「一番は金」だったのに、目の前の友人が困っていたら自分に利益があるか否か考える間もなく手を差し伸べる姿を見せて来るなんて…こんなの好きになっちゃうよ…。

 

  • 街角でトーマスを呼び止めたウィリアムが、ボールトン家の土地を手に入れる為にローバックと組んでローレンスを嵌めたことを責める。「僕の目を見てください」と詰め寄るウィリアムに、「意外と小さい目をしているんだな」と誤魔化すトーマスが苦しい。
  • そこに「トマちゃ~~ん!」とシャーロットが黄色い声を上げて現れ、気まずい空気が流れる。ウィリアムが「全部見なかったことにするので、もう行ってください……トマちゃん」と吐き捨てる辺り、水に流す気はなさそう。最後にぼそっと「母さん…」と言って去るところで、奔放な父のせいで苦労する母を見て来たんだろうなと想像できる。

 

  • 翌朝、雉撃ちに出かけるエドワード。そこに遠乗りに出ていたキャサリンも現れる。最初はよくこんな時に娯楽をする気分になるな…と思ったが、この領地での最後の思い出作りに出掛けたのだと思うと納得。
  • 序盤のグリーンのドレスも素敵だったけど、遠乗り用のパープルのドレスもとっても素敵。潤花ちゃんには濃くてハッキリした色が似合うな。
  • エドワードから僕を驚かせたら大したもんだと言われたキャサリンは、悪戯っぽく笑った次の瞬間、銃口エドワードに向ける。もちろんキャサリンは冗談のつもりで空の銃を向けたのだったが、エドワードは絶対にやっちゃいけないことだとキャサリンに激怒。
  • 「馬鹿な新兵がふざけて怪我をしたなんて話が五万とあるから」と言い過ぎたことを謝るエドワードだったが、キャサリンは「私は馬鹿な新兵以下…」と余計にショックを受けた顔をする。
  • しかしその後、突然エドワードに抱きつくキャサリン。物事の善し悪しも判断できないと思われているなら、どうせエドワードに軽蔑されているならいっそのこと、と開き直れたからこそ出来たハグ。
  • きっと地獄に堕ちるわ、もう二度としません、と取り乱すキャサリンに、遂に本心を話すエドワード。あなたとなら地獄に堕ちても構わないとキャサリンは懇願するが、「ローレンスを殺すも同じ、君にできるのか」と問われ俯いてしまう。
  • 地獄に堕ちる覚悟はあっても、ローレンスを傷つけることはできないキャサリンエドワードとの繋がりを絶たないためにローレンスとの婚約を受け入れたとは言え、ローレンスへの情もちゃんとあるとわかって安心した。
  • でもどうやって戻るというの、というキャサリンに「誰にも悟られず、心に抱きしめる」と返すエドワードが辛い。この状況で頑なにキスをしないのは、兄への精一杯の誠意だったのか、キスをしてしまったらタガが外れてしまいそうだったからか。

 

  • 張り詰めた空気の中現れるヘンリーに、どれだけ観るものの心が救われたか。本当にシリアスとギャグの塩梅が最高。
  • 雨宿りをさせるため、エドワードとキャサリンを家に招いたヘンリー。妹のレイチェル(栞菜ひまり)に「何か温かいものとか、飲むものないの?」と聞くも「お湯ならあるよ」と返され、「そんなのダメだよ!わからないのか、この馬鹿!」と怒るのだけど、怒ってる声もちょっと舌足らずで怖くないのよね。
  • そしてレイチェルの少したどたどしい話し方が童話から出てきた女の子って感じで本当に可愛いの…抱きしめたいわこの兄妹。
  • そして兄妹の父・ジェラルド(穂稀せり)は、前当主から譲り受けた領地の採掘権ををエドワードに返す。炭鉱開発でこの土地を変えたくなかった前当主は、村人の生活に使う分だけ掘ることを許していた。交渉の切り札を手に入れたエドワードとキャサリンは屋敷に戻る。
  • 去り際に「お礼よ」とキャサリンが身に着けていたイヤリングを外してレイチェルに渡すシーンは、キャサリンの優しい一面が描かれていた。リチャード然り、人には良い側面も悪い側面もあるのを描いているからこそ、一見身勝手に思えるキャラクターにも愛着が湧くんだなと思った。

 

  • ボールトン家の領地が石炭の鉱脈であることを知ったウィリアムが、ブリンクリーを連れてボールトン家を訪れる。
  • 二人掛けのソファにドカッと座る不機嫌そうなリチャードと、ソファの隅に追いやられ、脚をぴったり閉じ、怯えた表情のブリンクリーの構図よ。どこまでも不憫なブリンクリー。
  • ウィリアムを完全に敵認定したリチャード、初対面なのに握手を求められても無視、挙句「おい!冗談じゃないよお前!」「あ~~~もう我慢ならないなこいつ!!」「(誰の尻ぬぐいをするんです、に対して)お前の汚い親父のだよ」と暴言吐き放題で笑ってしまった。名前を覚える気が全くない。
  • ウィリアムから、抵当が設定される前に採掘権があったことを証明するよう言われ、ジェラルドから譲り受けた採掘権を提示するエドワード。水戸黄門みたいだな。

 

  • エドワードはウィリアムから新たに融資を受け、ボールトン家の屋敷を「ボールトンキャッスルホテル」として改装する。この領地の姿を変えず、使用人たちの雇用を守り、ローレンスが作った借金を返済しながら、リチャードの夢まで叶える一石四鳥なプランだった。ご都合主義好きには堪らない展開である。
  • ローレンスはキャサリンに変わらない愛を語りながら、自分の元から去る選択肢も提示しているあたり、エドワードとキャサリンの本心に気付いているし、それに対して「エドワードを愛しているけれど、私が妻になると誓ったのはあなただけよ」と返すキャサリンも誠実で残酷だなと思った。
  • リチャードがローレンスに城主としての挨拶を頼みながら「顔が同じだからどっちでも良いんだ」と冗談を言ったり、ウィリアムに「ウィリアム!お前の親父さんが居間で酔っぱらって大変だ」と声を掛ける辺り、ホテルのオープンまでに皆と仲良くなれたみたいで安心した。(親なの?)

 

  • ヘンリーとキャサリンの「お連れ様がお待ちです」「言葉遣いが変わったのね」「教えられた言葉以外は、ぶっ飛ばされるでございます」「ジョージに?」「左様でございます」のやりとりが微笑ましいのと、ヘンリーがどこまでも空気の読めるハッピーボーイで最高。
  • 1人テラスにいたエドワードに会いに行くキャサリン。身に着けていたペンダント(グリーンのドレスの時も身に着けてた)を渡し、何かあなたの物をくださいと言う。エドワードは「インドに行ったときに買ったものだ、兄は知らない」と人差し指に着けていた指輪をキャサリンの右薬指に贈る。
  • エドワードはそのままキャサリンの手のひらにキスを落とすのだけど、手のひらへのキスは「あなたを所有したい」という「懇願」を意味する。ローレンスとキャサリンの幸せを願う気持ちとキャサリンを愛する気持ちを一生抱きしめながら、エドワードは生きていくんだろうなと思った。
  • あと、キャサリンエドワードに贈ったペンダントが、雪組CHで冴羽がアルマ女王に託したペンダントと同じものの様な気がするのですが、いかがでしょうか有識者(だとしたら男女間を行き来し過ぎなのではあのペンダント)

 

  • ヘレンとの結婚式には来てくれよ、で下手に捌けながら隣のヘレンを見て悶絶してるリチャードが一番可愛かった。ナイスバカップル、お幸せに!!
  • そして口には出さないけれど、エドワードが誰よりもこの土地を愛していることを理解しているジョージ。エドワードを大切に想う人たちによって、エドワードの故郷がこれからも守られていく事に心が温かくなった。

 

 

アクアヴィーテ!!

  • 冒頭、センター分けで現れたなるくんに映像で何度も観た大劇場の桜木さんが重なって感情が爆発した。しかも配信・収録に合わせて12月4日ソワレ限定なのかと思いきや、5日のソワレもセンター分けになってて瀕死。105期怖い。
  • アルカミストSは大劇場では専科の英真なおきさんだったので、りんきらさんがやるのかな?と思っていたらまさかのすっしー組長!デリシューでもチョコレートの妖精だったし、最近すっかりティムバートン枠ですね。(最高です)

 

  • 幕が上がって、カウンターチェアに腰かけるウイスキーキングこと真風涼帆様の神々しさたるや。そしてドンピシャで当ててくる「イエ~~~~~~~~!!!!!」に全身の血がブワッと沸き立つよね。
  • そしてフワッと跳びながら前に出てくる桜木さん、シャンパンゴールドのお衣装もお似合いで最っ高!今世紀一番格好良い芋掘りダンスを生で観れたので、2021年に未練はありません。
  • 下手から桜木さん、潤花ちゃん、もえこちゃんの並びでピョン!とカウンターを降りてくるところが好き過ぎて、脳内でGIFファイルにした。
  • というかこれで半分しかいないって本当??と思うくらいに、熱気も声量も凄くてビックリしてしまった。宙組の未来は明るいね。
  • 2小節に1回のペースでウインクをばちぼこ飛ばす桜木さんは単体でも相当心臓に悪いのだけど、その斜め後ろで大人なねっとりウインクを飛ばすりんきらさんも視界に入って心臓が止まるかと思った。

 

  • 続くスーパー潤花タイムが最高〜〜〜!!!爆竹拍手が鳴り響く会場に、みんな潤花ちゃん好きだよね、わかる〜!ってなってた。
  • あと第一幕から思っていたのだけど、潤花ちゃん大劇場の時よりも痩せました…?ウエスト周りとふくらはぎがより一層華奢になったような。十分細いから、いっぱいご飯食べてねと田舎のおばあちゃんの気持ちに。
  • それと、眉をハの字にして笑うりずちゃんの笑顔が好きだなぁと改めて思った。唇を尖らせたり、キュッと口角を上げてみたり、笑顔にも沢山のバリエーションがあるりずちゃんが素敵。

 

  • 続くビースト。赤メッシュ鶏冠ヘアーまで似合ってしまう桜木さんに「好き〜〜〜!」と心の中で絶叫した。顔が好きだから何したって格好良い。全面降伏です。
  • 桜木さんのツンデレ、ビィ〜スト〜〜〜 の言い方が兎に角癖なので、頼むからTCAは別箱も音源化してください。これで救われるヲタクの魂がある。
  • キキちゃんのラムページは例えるなら"妖艶な黒豹"と大人なイメージだったのだけど、桜木さんのラムページは"元気いっぱいの赤ちゃんライオン"って感じでエネルギッシュで可愛い〜!
  • と、完全に油断していたらロフティドリームのきよちゃんのふくらはぎにチュッチュとキスをしたので、そうだこの人ついこの間までレザンちゃんだったじゃない…と正気に戻った。

 

  • スモーキーナイト冒頭でりせなるの膝に腰掛けるすっしー組長の画、めちゃくちゃ強くて好き。
  • 潤花ちゃんの健康美な身体にガーターベルトが最高に似合うのよ。もう何かにつけて潤花ちゃんにはガーターベルトのお衣装を着て欲しいよ。
  • 潤花ちゃんがカップをぶん投げた後、キャッチするのがひばりちゃんで笑ってしまった。第二幕でも名捕手っぷりを遺憾なく発揮。

 

  • ルファインド・テイストの光るステッキは何回観てもSexyZoneの『Miss Mysterious』を思い出してしまうジャニヲタ。
  • 女装したこってぃの隠しきれない雄みが最高だった。
  • この白にレオパード柄のお衣装大好きなので、桜木さんがこのパートいっぱい出てくれて眼福でした。大感謝。
  • 冒頭のひばりちゃんとのデュエットダンスも、ひまりちゃんとのデュエットダンスも素敵だったな。桜木さんが慈しむような瞳と、それに応えるかの様に儚い表情になる娘役に、ふたりの物語が垣間見えるよう。
  • ウイスキーが、お好きでしょ」で滝汗を流しながら涼しい顔をしている桜木さん本っ当に好きでして…特に5日のソワレの汗の量は尋常じゃなくて、額から次々頬に流れ落ちてくる汗粒を、手のひらで拭う姿が完全に癖でした。
  • そしてアクアヴィーテも一緒に踊りたいし、双眼鏡で桜木さんも観たかったわたしは、右手にグラス、左手に双眼鏡のスタイルになりました。我こそは強欲な壺。

 

  • ウイスキーボンボンの曲調がとっても好きなのだけど、こってぃがキラッキラで良かったです。
  • ターストでは真風さんの顔に煙草の煙を吹き掛けるもえこちゃん、最高にセクシーでしたね…。大劇場と変わらず秋音さんがミマなのも素晴らしかった。
  • あとこの薄暗い中、目を離しても脚の長さでどこにいるのかすぐわかるもえこちゃんは流石過ぎた。

 

  • ヴィッツラ、デリシューで息ぴったりだったずんぱなが続く響でも魅せてくれました。"ソウルメイト"という言葉はこのふたりのためにあったのではないかと思うくらい、肉体を超えて魂までぴったりと寄り添っているかのようだった。
  • 特にそう感じたのはリフトで、桜木さんが潤花ちゃんを抱えた瞬間に、潤花ちゃんの個体としての重さが全く無くなって、まるで桜木さんの手と同化してしまったかのように見えた。
  • これ以上上手い表現が見つからないのだけど、とにかく今まで見てきたダンスの中で一番衝撃的だったし、会場全体が一瞬も見逃すまいとふたりをじっと見つめていたのを肌で感じた。

 

  • 響で呆けていたら、初々しい亜音くんとひばりちゃんが登場して我に帰った。
  • 黒燕尾の桜木さんがするニチャア笑いが好きなんだけど、なんかもっと可愛らしい形容はできないものか…でも"ニチャア…"なんだよな。
  • 真風さんのデュエダン新衣装、ピーチピンクに黒のアクセント、ジャケットの裾はたっぷりのプリーツがはためき、胸元には薔薇のブートニア…と完全にPEACH!の中島健人正装ver.で最高なんですよね。(SexyZoneのヲタクにしかわからない)
  • 潤花ちゃんのお衣装がドレスじゃなくてショートパンツなのも最高に癖に刺さり、衣装担当を調べたらやっぱり有村先生でした。(娘役のボディーラインが素敵だな…と思う時のお衣装は高確率で有村先生)(わたし調べ)

 

  • パレードでゆっさゆっさと3番手羽根を揺らしながら出てきた桜木さんを観て笑顔になったわたし、潤花ちゃんと顔を見合わせながら満面の笑みで前に出てきた時は叫びそうになった。ずんぱな、尊いが過ぎる…!
  • そして幕が閉じるギリギリまでサンバステップやら足上げステップやら、誰よりも元気いっぱいな姿を見せてくれる桜木さんに、この方を好きになって本当に良かったなぁと改めて思うのでした。

 

 

おまけ

遠征の楽しみと言ったら美味しいごはん。今回は、会場やホテルからのアクセスが良いか、且つおひとり様でも入りやすいか(カウンター席があるか)を念頭に、事前にお店を知べておきました。結果、どのお店も美味しくコスパも◎だったので、福岡遠征の機会があればまた訪れたいです。以下、お店まとめ。

 

12月4日 昼

中州川端駅から徒歩1分の「とりまぶし」さん。12時に訪れたところ1時間ほど並んだので、事前予約がおすすめ。

12月4日 夜

中洲川端駅から徒歩3分の「網元」さん。捌きたての活ごまあじが1,080円、いわし1匹の間に明太子がぎっしり詰まったいわし明太子焼きは590円と高コスパ。メニューも豊富なので複数人で利用しても絶対に楽しい。

続いて上中州にある「元祖ラーメン長浜家」へ。網元さんからは10分くらい。さっぱりめのスープだから〆にぴったり。ねぎ大盛り無料も嬉しい。

12月5日 朝昼

中洲川端駅から徒歩5分の「Stock」さんでマチネ前に腹ごしらえ。見た目からして"映え"な焼きたてパンがずらっと並ぶお洒落な店内にテンションが上がる。ただしここも人気店で30分程並ぶので注意。

12月5日 夜

福岡遠征の〆はもつ鍋と決めていたので、ソワレ後に福岡空港内の「おおやま」さんに直行。あとは飛行機に乗るだけという安心感の中での飲酒、最高です。

 

福岡県、最高ば~~~~~い!!!!!

 

『NEWSIES』10月26日ソワレの記録

最近ジャニーズの現場に行くと見学被りが続いているm.です。スタオベは中島健人、ブライトン・ビーチ回顧録松島聡ハロルドとモード生田斗真と来て、今回は田中樹。我ながら豪運過ぎない?

今回の座席は2階D列下手側。座席が横に迫り出しているためステージとの距離が近い代わりに、ステージ下手8番以降が見切れてしまう席だった。声は聞こえるけど姿が全く見えない場面もあり。でもそんなの帳消しになるくらい、本当に素敵な舞台だった…!

 

以下、あらすじと感想。ネタバレあり。

f:id:ma_waremiracle:20211027131028j:image

 

 

あらすじ

舞台は1899年ニューヨーク。当時の新聞は「ニュージーズ」と呼ばれる子どもたちによって路上で販売されていた。ある日突然、新聞社「ニューヨーク・ワールド」がニュージーズへの卸値の値上げを発表。子どもたちは不当な値上げに立ち向かうべく、ストライキを決行する。

 

 

印象的なシーンと感想
  • 冒頭、ビルの屋上で眠るジャック(京本大我)とクラッチー(松岡広大)。客席を背にして眠っているのだけど、寝姿ですら京本大我のオーラを放っているので一瞬でどっちかわかるから凄い。因みに下手側。
  • きょもが『on eST』円盤で体づくりを始めたと言っていたけれど、4ヶ月程度で人ってこんなに体つきが変わるんだとびっくりするくらい、大きくて逞しい体つきだった。
  • 更には陶器のように真っ白な肌を封印し健康的な浅黒い肌にした姿は、私の知るSixTONES京本大我ではなく、新聞を売って生計を立てる17歳の少年・ジャックそのものだった。
  • 木製の貯水タンクに白いチョークで「Santa Fe」と書くジャック。今までの公演で書いてきたチョークの跡が残っているのだが、何度も何度もそこに「Santa Fe」と書いては、憧れの地に想いを馳せてきたジャックの姿が透けて見えるようでとても良かった。

 

  • 朝、新聞を仕入れるニュージーズたち。そこに新入りのデイヴィ(加藤清史郎)と弟のレス(この回は西田理人)が現れる。
  • 卸した新聞は後払いでも良いのか、余った新聞は買い取ってもらえるのかとワールドの社員に食い下がるデイヴィ。当時ニュージーズの間では当たり前になっていた不当な取り決めに対して疑問を投げかけるデイヴィは、観客の代理人的存在、或いはストーリーの説明役だと感じた。
  • そんなデイヴィだが、髪色がまさかのピンク。しかもウィッグじゃなくて地毛。加藤清史郎くんが派手髪にしているイメージ全くなかったからびっくりした。
  • 通りかかったキャサリン(咲妃みゆ)にナンパするも相手にされないジャック。咲妃みゆさんがあまりにも可愛すぎるので、こんなに顔の良い男から絡まれても毅然とした態度でいられることに説得力しかなかった。
  • あとキャサリンのお衣装が全部可愛い。色合いといいアクセントのチェック柄といい、PAMEO POSEっぽくてツボでした。

 

  • オフィスで美容師に髪を切ってもらいながら、部下と売上低迷の打開案を話すピュリツァー(松平健)。少しも時間を無駄にしたくない厳格な経営者という印象をまず抱いたけれど、しゅっちゅう顔を動かしてその度に美容師から怒られる姿はなんだか可愛らしい。
  • 松平健と言えばマツケンサンバのイメージが先行してしまうのだけど、洋装も先がくるっと丸まった口髭もとってもお似合いでした。あと当たり前だけどめちゃくちゃに歌が上手い…。

 

  • レス、新聞を売るのが上手い。咳をしながらカップルに近づき、「可哀想な孤児から新聞を買っていただけませんか…」と女性の方に声を掛け買ってもらう。
  • 可哀そうな子どもの演技をすれば新聞を買ってもらえることに気付き、学校より楽しい!と無邪気に喜ぶレスと、そんなこと言うもんじゃないと嗜めるデイヴィ。デイヴィは真面目で正義感が強いお兄ちゃん像そのもの。
  • すっかり兄弟を気に入ったジャックが売上金で夕飯を食べに行こうと誘うも、ふたりは父親の失業により一時的にニュージーズを始めただけで、家には食事を作って待ってくれている両親がいると知る。
  • 逆にふたりから家で一緒に食べようと誘われるも、そういえば仲間と約束があったのを忘れてた!と断るジャック。いつも明るく振舞っているジャックの中にも、所謂「普通の暮らし」をしている子どもに対するコンプレックスが露わになった瞬間。
  • ジャックがふたりと別れようとするも、感化院のスナイダーが現れ一緒に逃げる羽目に。

 

  • メッダ(霧矢大夢)の劇場へ逃げ込んだ3人。
  • ジャックが以前、感化院から逃げる際にルーズベルト知事の馬車に飛び乗ったこと、メッダはルーズベルト知事と面会できる間柄にあることが会話の中で出てくるのだけど、これがきちんと伏線回収される(むしろ物語のキーになる)とはこの時点では気付かず、最後めちゃくちゃ気持ちが良かった。
  • 楽屋で着替える下着姿の女性ダンサーを見て、この人たち服着てないよー!と騒ぐレスが可愛い。そしてこの時のピンク色のレーシーなお衣装姿がとっても綺麗で眼福。
  • 舞台の幕が上がると、男性客を誘惑しながら高らかに歌い上げるメッダが格好良すぎて痺れた…!メッダがハイヒールを履いたまま脚を男性客の太ももに掛けるところなんて堪らない。そこ代わってください。
  • プライベートボックスで独りメモを取りながら観劇(取材)をしていたキャサリンを見かけ、「また会ったね、運命かも」とすかさず隣に座るジャック。そうかも!とならないどころか死ぬほど嫌な顔をするキャサリンは魂が強い。
  • 上演中にも関わらず言い争うジャックとキャサリンに、「2人ともタダ見なんだからちゃんと観なさい!」と注意するだけで追い出さないメッダは寛大。
  • 注意されたあと、おもむろに新聞と鉛筆を取り出して何かを描くジャック。描き終わると座席にそれを置いて去っていく。そこにはキャサリンの横顔が描かれていた。
  • キャサリンがそれを手に取った瞬間、プライベートボックス背景のカーテンが開いてジャックが描いたキャサリンが大きく映し出される演出がドラマチックで宝塚っぽいと感じた。
  • 幕が上がる前に、ジャックが舞台背景を描くほど絵が上手いという設定がメッダとのやりとりの中で明かされているので、このくだりもスッと入ってきた。設定の開示と伏線の回収が鮮やかで無駄がない。
  • あと、タイタニックのジャックも貧しいけれど絵が上手いことがきっかけで高貴な育ちの娘から好意を抱かれるので、やっぱり絵が上手いって強カードなんだな…と思うなどした。

 

  • 翌朝、新聞の卸値が100部60セントになることが突然発表され、ざわめくニュージーズたち。何の冗談だと先陣を切っていつも通り50セントを出したジャックだったが、60セント出せと跳ねのけられてしまう。そこでジャックは、ニュージーズの不当な扱いに異を唱えようとストライキを決行する。
  • 朝の騒動を知ったキャサリンは、ニュージーズの権利を守るためのストライキに賛同し、取材がしたいとジャックに申し出る。
  • キャサリンは名前を聞かれ、記事を書く時のペンネームで答える。なぜ本名を明かさないんだろう?と引っかかっていたらここも伏線だった。

 

  • 翌朝、歌って踊りながら赤いペンキで新聞に「S」「T」「R」「I」「K」「E」と書き、それを貼った壁の前で記念撮影。ストライキ決行前に和気藹々としていて微笑ましい。
  • しかし仲間の中から裏切り者が3人現れ、ワールド社の言い値で新聞を買ってしまう。そんな3人に対し、「金で雇われたんだろう、でもここで仲間割れをしたらピュリツァーの思う壺だ、団結しなきゃ」とジャックが語り掛ける。ジャックの思慮深さと優しさが垣間見えるシーン。ジャックの言葉に心を動かされた3人は買った新聞を返却する。(一人は地面に叩きつけていた、ロック)
  • そうしてワールド社側との乱闘が始まったところに警官とスナイダーが現れ、クラッチーが感化院に連行されてしまう。
  • 松葉杖をつくクラッチーから松葉杖を取り上げ、松葉杖に貼られた「STRIKE」の張り紙を破り捨て、暴力を振るうスナイダー。いっそ清々しいほど嫌な奴。

 

  • クラッチーに助けを求められるも、ジャックは何もできなかった。自分が得意げに仲間を引き連れてあんなことをしたからクラッチーは傷ついてしまった、自分を知る人間のいない遠い土地に逃げてしまいたいと、独り屋上でサンタフェを歌う。
  • 全てを諦めたかのように涙する儚い表情と、叶わぬ夢に焦がれるような力強い歌声に、ジャックの葛藤が現れていてとても良かった。圧倒的顔面美と圧倒的歌唱力が遺憾無く発揮されていた。最高。
  • ジャックの心情に引きずり込まれて観ている側も体力を使うシーンなので、ここで第1幕が終わるのは納得。そのまましばらくはジャックの涙の余韻に浸っていた。

 

  • 翌日、キャサリンが書いたストライキの記事が一面に載り、ヒーロー気分のニュージーズたち。有名人になったら何を買おう?有名人は何でもタダでもらえるんだよ、という少年たちのやりとりに首をかしげるキャサリンが可愛い。
  • ここでキャサリンがレス(子役)の隣に腰かける場面があるのだけど、顔のサイズが一緒でびっくりしてしまった。きょもと並んでもめちゃくちゃ顔が小さいな~とは思っていたけど、まさかリアル子どもサイズとは。お見それしました。
  • ニュージーズたちが軽快にタップダンスをする姿を見て、たどたどしく真似してみせるキャサリン。周りが誰もノッて来ないので、も~!とプリプリしながらスカートをたくし上げて思いっきりタップをする姿がとっても可愛かった。

 

  • 場面は変わって夜、感化院。大きなネズミが這い、1つのベッドで3人の少年が眠るような劣悪な環境の中、蝋燭の火を頼りにクラッチーはジャックに手紙を書く。
  • 手紙の結びで、「僕の親愛なる…友達、いや親友、いや兄弟」と横線を引きながら書き加えていくクラッチーからは、ジャックへの敬愛しか伝わってこない。助けてもらえなかったことを全く恨んでいない、真っ直ぐなその姿が泣ける。
  • クラッチーの歌声を聞いてうるさいと怒鳴りに来るスナイダー。どこまでも嫌な役。そのまま上手でセットチェンジが終わるまで巨大ネズミとスナイダーが戦っているのは面白かった。

 

  • メッダの劇場で新しい舞台背景を描いているジャック。そこにデイヴィ、少し遅れてレスとキャサリンが現れる。
  • ストライキにはもう参加しない、と頑ななジャックを前に、ヒーローになってモテモテになった、サリーという彼女が出来たと得意げに話すレスが無邪気で癒される。
  • デイヴィはジャックに、僕たちは負けたんじゃないと訴える。そしてストライキの輪を広げるために、各地のニュージーズをメッダの劇場に呼んで集会を開こうと提案する。
  • メッダは集会所として劇場を貸すこと快諾、更にはジャックに「他所へ行きたいから出て行くのと、現状から逃げるために出ていくのは違う。逃げるために出て行ったら、あんたの居場所はもうどこにも見つからない」と諭す。メッダのジャックを想う気持ちが透けて見えてジーンときた。
  • そうして、ジャックは再びピュリツァーと立ち向かう決意をする。

 

  • ピュリツァーのオフィスを訪ねたジャックが、ピュリツァーに明日の集会で演説をする時間を与えようと得意げに提案する。しかしピュリツァーは、金を受け取ってストライキを中止させろ、さもなければ全員感化院送りだと脅す。
  • 更にその場にはキャサリンもおり、ピュリツァーの娘であることが判明。ジャックは絶望の中、古い印刷機の上で眠るしかない冷たい地下室に幽閉されてしまう。

 

  • 翌日、ブルックリンなどニューヨーク市中のニュージーズがメッダの劇場に集結。時間になってもジャックが現れず、代わりにデイヴィが集会の音頭を取る。
  • やっとジャックが現れるも、ピュリツァーが2年間は価格を据え置いてくれると約束してくれた、だからストライキ反対に投票してくれと言い出し大ブーイング。

 

  • ジャックが寝泊まりする屋上を訪れたキャサリン。そこで、ジャックが描いた感化院の様子を目にして愕然とする。
  • 帰ってきたジャックは、キャサリンが勝手に絵を見たこと、ピュリツァーの娘であることを隠していたことに対して怒る。キャサリンは騙すつもりはなかった、名前も記事を書く時に使っているペンネームを教えただけで嘘をついていた訳じゃない、それにあなただって本名を聞いてくれなかったじゃない!と逆ギレ。
  • ぶん殴ってやる!と拳を握りしめ、腕をぶんぶん振り回すキャサリンに、やれるもんならやってみろよ、ほら、と頬を殴るよう挑発するジャック。あ、この流れは来るな…と察したところでキャサリンがジャックの唇を奪う。
  • こんな失礼なやつ大嫌いよ!と言っていた威勢の良いヒロインが突然キスする流れ、どこの花男だ~~~と思いながらキュンときた。お約束展開ってやっぱり良いよね。
  • その後、まだやれることはある。ストライキを他の児童労働者にも広げよう、そのためにビラを作るの。私が文章を書いて、あなたが絵を描けばいいわ。とてきぱき話を進めていくキャサリンに、「待って、さっきのは、何…?」とキスの意味を確認するジャックが不器用全開で可愛い。
  • その後キャサリンを抱きしめキスをするジャックが、体格差も相まってめちゃくちゃに"男"って感じで大変良かったです…SixTONESの中にいたら姫なのにね…やっぱり男なんだね…。
  • ただこのシーンだけで3回もキスしたのには笑った。めちゃくちゃキスするやん。

 

  • 真夜中、ピュリツァーのオフィスに忍び込み、地下にある古い印刷機ストライキのビラを刷っていく。
  • キャサリンが印刷技術を持つ大手新聞社の御曹司たちを連れて来るのだけど、このラインナップの中でキャサリンを射止めたジャック、最高過ぎない?やっぱり人は心なのよ。
  • 動き出した印刷機から実際にビラが出てくる仕掛けには驚いた。どういう仕組みなんだろうとまじまじ見てしまったよね。
  • ニュージーズたちによる息の合ったダンスが圧巻。宝塚の男役群舞とはまた違った、荒々しくて力強いダンスの良さに気付かされました。

 

  • 翌朝、電話が鳴りやまないピュリツァーのオフィス。ニューヨーク各地の児童労働者がストライキを起こしたため、事の発端となったピュリツァーへの問い合わせが殺到していた。
  • ジャックはピュリツァーから渡された札束を返し、再度交渉をする。100部50セントのままでは採算が取れない、間を取って55セントにしようと提案するピュリツァーに対し、なら売れ残った新聞は全て買い取るんだ。売れ残った新聞を買い取ってもらえるとなれば、皆今より多く新聞を卸して売ろうとするはずだ。それこそ公平だと返すジャック。
  • 交渉成立で掌に唾を吹きかけて差し伸べるジャックと、嫌々ながらちょこっとだけ唾をつけて握手をするピュリツァー。敵役として描かれていたピュリツァーが、和解のシーンで観客の笑いを取る演出が良いなと思った。
  • 劇中で度々出てくる「唾を吹きかけた手で握手をする」慣習を知らずハテナだったのだけど、調べたところ古くから伝わる子どもの約束の儀式だそう。
  • 最終的にピュリツァーから絵の才能を買われ、新聞で絵を描かないかと誘われるジャック。子どもとしてではなく、対等なビジネスの相手として扱われていて、この握手の意味を感じた。

 

  • いつもの場所で新聞を卸すニュージーズたち。
  • そこにキャサリンとメッダに連れられルーズベルト知事が現れる。ジャックが描いた絵によって感化院の現状を知った知事は、感化院の閉鎖を決定。子どもたちを不当に収容したスナイダーは逮捕すると告げた。
  • クラッチーが解放され、喜ぶニュージーズたち。知事に許可をもらってスナイダーに手錠をかけたクラッチーが、松葉杖をつきながらも思いっきり飛び蹴りしたのはスカッジャパン。というか松岡広大さんの身体能力どうなってるん??
  • 旅に出ようかなと言い出すジャックに「ニューヨークになくてサンタフェにあるものって何?砂嵐?」「ニューヨークには仲間がいるよ!」と笑いながらここにいてよ、と訴えるニュージーズたちに泣けた。
  • その上、「あなたはもう一枚エースのカードを持っているわ!」と手を広げるキャサリンが最高過ぎて。自分をエースのカードだと言い切れるの凄くないですか、愛を確信していないとこんなこと言えないよね。もう本当に堪らなく可愛い。
  • 抱き合ってキスをするジャックとキャサリンを指差して、幼いレスが騒ぐのも微笑ましい。レスは終始場を和ませる天使だった。

 

  • 最後、パレードの動きがまんま宝塚で大興奮。一礼したキャストさんたちが「ハ」の字に並んでいき、松平健さんが一礼し終わったところで曲が止み、別の曲が始まったところで0番の奥に立つきょもにスポットが打たれる。
  • その瞬間きょもが背中に大羽根を背負っているような錯覚を覚えた。実際はジャックのボロボロの衣装のままなのに、キラキラ輝いて見えた。これがスターかぁ…と息を飲んでしまった。
  • カーテンコールはスタンディングオベーション。もう一度出てきたきょもが、ダーッと上手に走って行ったと思ったら、助走をつけてバク転をするフリをする。可愛い。綱引きのパントマイムをしながら下手へ捌けて行き、最後の最後で超キュートなアイドルの顔も見れて大満足でした。

 

 

おまけ

開演前、突然壮大な鐘の音が鳴り始めたと思いきや「本日はご来場いただきありがとうございます。ジャック役の、京本大我です。皆様に、お願いがございます…」と感染予防対策に関するアナウンスが。

その効果か、今年入った現場で一番客席内が静かだった。そりゃあきょもから直々にお願されたら、ヲタクは皆黙るよね。ぜひ他の劇場でも真似して欲しいな~と思いました。

'21雪組『CITY HUNTER|Fire Fever!』10月23日ソワレの記録

早速2回目の観劇に行って来ました。前回はCHのキャラクターと作品の構成を頭に叩き込むのに一生懸命になりすぎて泣く余裕が全く無かったですが、今回は主に槇村兄に感情移入して最後は号泣。

2回目で新たに気付いたことと共に、副題の『盗まれたXYZ』の意味も自分なりに考察してみたので書き残したいと思う。1回目の観劇レポはこちら。

 

今回の座席はB席上手側。前回はありがたいことに1階8列目ドセンでステージを間近に楽しませていただいたので、今回は舞台全体が見渡せる2階席に。それにしても宝塚の劇場は2階席でも観やすくて本当に素晴らしい…。

 

以下ネタバレ注意。

 

 

副題の『盗まれたXYZ』とは?
  • CITY HUNTERにおける"XYZ"は依頼人からの合図であることから、副題の『盗まれたXYZ』を単純に言い換えると「盗まれた依頼人」になる。
  • 確かに、獠に護衛を依頼したアルマ女王が拐われてしまったり、劇中歌『WONDERLAND』で ♪気付かないふりしてるの?私からあなたへのXYZ〜 と獠に向けて歌っていた香がミックの手を取り獠のもとを去ってしまったりするので、それでも意味が通らないことはない。しかし、それだと劇中で出てくるキーワードと最後の依頼が回収されない。
  • 劇中では冒頭から「ハッピーエンド」というキーワードが香を中心に繰り返し出てくる。そして劇中最後の依頼人は槇村兄であり、その内容は「妹を幸せにしてくれ」というもの。
  • 実際、幕が開いてからというもの香はずっと悩み続けている。兄の死、獠とのどうにもならない距離感、スイーパーとしての失態、人を殺めてしまったという後悔…いつも明るく振る舞っている香だが、終始幸せとは言い難い状況。
  • つまり、『盗まれたXYZ』は『盗まれた香の幸せ』と言い換えられるのではないだろうか。
  • 槇村兄からの依頼を獠は面倒臭がるが断らない。これから獠が香の幸せを取り返す(=香を幸せにする)兆しが見えたところで物語の幕が閉じる……こんなん出ましたけど〜!(まぁそんな考え方もあるよね、くらいに思っていただければ)

 

2回目で気付いたところ

CITY HUNTER

  • ジェネラルに撃たれた槇村兄が下手花道でせり下がって行くところ、スポットライトが細くなっていくタイミングでフッと天を仰ぐ槇村兄。あまりにも美しく清らかな表情で目を瞑るので、小さく「ヒュッ」と息が漏れてしまった。わたしが殺されかけている。
  • 暗転してもせり下がって行く槇村兄をガン見していたせいで、ベッドで並んで眠る獠と香の表情をすっかり見そびれてしまった。(1階席からだとそれが見えなくて2階席で取ったのに)
  • 香が街でビラ配りをしているところ、後ろで槇村兄が竜神さやか(花束ゆめ)から猫耳を付けられ、街の人たちから「猫耳だけ浮いてる〜!」という反応をされながらにゃんにゃんとポーズを決めていて可愛かった。
  • というか、幽霊の槇村兄に猫耳を付けられる竜神さやかは霊能力者なの?視えてるってことよね??と謎が深まった。
  • このビラ配りのシーンと、アルマ女王が空港でペペの背中に獠からのメッセージが貼ってあると気づくシーンで、それぞれに北条先生のイラストが描かれているの細かいな〜!と思った。双眼鏡がないと絶対に見えない。

 

  • 冴子からアルマ女王の護衛を依頼された獠がアルマ女王の歳を聞いて「あと1歳…」としょんぼりていたのとっても可愛かったのだけど、ここって毎回同じ返しなのでしょうか?返しが前回と違うように感じたけど、気のせいかもしれない。
  • 1階席からだと冴子の深いスリットばかりに目が行くけど、2階席からだと冴子の谷間にばかり目がいってしまう。どこの席からでも悩殺してくる冴子たん最高。
  • あと、アルマ女王の潜伏先のソファで獠に抱きつかれながら冴子が何度も脚を組み替えるのだけど、2階席からの方がよりドキドキ感凄かった…あんなにセクシーなのに下品じゃないのは彩みちるさんの品の良さが成せる技。
  • 織田が「レインボーブリッジが封鎖できません!」と言って冴子がツッコむところ、前回は「ドラマの観すぎよ」だったけど、今回は「仕事しろ」だった。

 

  • 中盤、ミックが今回日本に来た理由の1つは香を落とすことだよ、と「お前にマジ」モードに入りかけたところで、獠が真剣な表情でやめとけ、と忠告したあとパッと表情を変えて「親友の不幸は見たくない〜」とおちゃらけ、香から引き剥がしてねこまんまに連れて行くの…ねぇもうそれはさぁ!好きじゃん!!!と震えた。彩風さんの表情管理が最高すぎる。
  • あとねこまんまのソファで獠とミックが子猫ちゃんたちに囲まれているとき、獠の膝の間に入ってにゃんにゃん甘えてる子がめっっちゃ可愛かったんですけど、お名前わかる方いたら教えてください…。
  • 2回目だったからか『WONDERLAND』の歌詞がスッと入ってきて泣けた…獠は新宿をワンダーランドと呼び、香は獠をワンダーランドと呼ぶのめちゃくちゃエモい…香にとっては獠が世界そのもので、獠にとっては香がいる新宿が世界なんでしょ……(語彙喪失)

 

  • 獠と香のキスシーン(未遂)をキャッキャしながら見守る皆の中に、拳をギュッと握りしめ表情を強ばらせた槇村兄がいるのめちゃくちゃ面白い。
  • そして槇村兄が冴子を抱きしめながら頭ポンとするところで涙が溢れて止まらなかった…。ずっと妹を心配して近くにいた槇村兄が、妹の幸せを確信できたから最後に冴子へ愛を伝えに行くのは狡い。泣かない方がおかしいのよ。
  • 周りの席の方々は香が怒って獠を追いかける姿を微笑ましく観ている感じだったのに、1人でぐしゃぐしゃに泣いてたら終わって明転したのでちょっと恥ずかしかった。

 

Fire Fever!

  • アラベスクのさききわの白地に黒いキラキラ刺繍のお衣装とっても好きだ…なぜか前回記憶がすっ飛んでいたのでしっかり目に焼き付けた。
  • 下級生ピックアップでセンターにいる縣くんを観ながら、ふと踊り方がラウールっぽいなと思った。脚が長いから軸が上の方にある感じとでも言うのかな。とりあえず脚を持て余してるなと思った。
  • 雪組さん、脚長の民多くない?(たぶんそれ宙組でも月組でも言ってる)
  • デュエダンの最後、銀橋中央で希和ちゃんの手を取り自分の左胸に当てる彩風さんがあまりにも優しい顔をするので、「俺の胸の高鳴り、聞こえる?」と勝手にアテレコしてしまった。
  • そのあとすぐ希和ちゃんが微笑みながらもう一つの手も彩風さんの胸に当てる仕草がとても愛おしかった。ふたりの周りにふわっと柔らかな光が差し込むような空気感。さききわ尊い
  • デュエダンって表情と仕草からふたりの関係性が垣間見えて、100組いれば100通りの良さがあって本当に素晴らしい。

'21雪組『CITY HUNTER|Fire Fever!』10月17日ソワレの記録

今年3月末に入会した宝塚友の会で初めてチケットが当たった。半年間何も当たらないので、もう友会に期待するのはやめよう…と思った矢先に8列ドセンというほぼSS席をご用意してくれたのである。急に心開いてくれるじゃん、友会ちゃん。

そんな訳で、この度雪組さん初観劇を迎えることができました。感謝永遠に。

 

白状すると、雪組さん初観劇どころか原作未履修のため、初見が何か言うとるな~〜くらいの気持ちで読んでいただけたらと思います。どうぞお手柔らかに。

 

以下、あらすじと感想。ネタバレあり。

 

 

あらすじ

テレビシリーズ放送時はまだこの世に誕生していないわたしでも知っている、言わずと知れた名作。CITY HUNTERのファンではなくとも、『Get Wild』が流れるとテンションが上がる!という方も多いのでは。(わたしは完全にこれ)

 

 

印象的なシーンや感想

CITY HUNTER

  • 冒頭、グジャマラでのクーデターから始まり何だ何だと唖然としていると、上手にミック・エンジェル(朝美絢)が登場。顔が良いのは存じ上げていたけれど、それにしたって抜群に顔が良い~~~!!!顔が良いのでエンジェルって姓に違和感がないどころか説得力がある。
  • 2019年7月当時、FNS歌謡祭の「DA PAMP×雪組」を観た直後に朝美絢さんのことを調べていた人間なので、生で観れた感動はかなり大きかった。好みの顔という次元を超えて、「誰が見ても美しいと思う顔」ってまさにこれだと思った。ミロのヴィーナス的な。あと大きな瞳にブルーグレーのカラコンが似合い過ぎ。

 

  • 場面が新宿に変わり、冴羽獠(彩風咲奈)の登場。TLで「脚が長い」という情報は100万回見ていたし、写真で見ていたから知ったつもりになっていたが、一目見て、なんでローヒールなのにこんなに脚が長いの!!?と困惑した。
  • そして顔が小さすぎる。これは聞いてない。ジャニーズで言うとSexyZoneの佐藤勝利くんを初めて生で観た時の衝撃に一番近かった。赤ちゃんサイズの顔にとんでもなく長い脚が生えてるのよ。神様に愛された造形。
  • オープニングの開演アナウンスのタイミングも最高。組子が一斉に出てきて、生オケの音量も一気に上がり、『Get Wild』のイントロでワクワク感が最高潮になった瞬間に流れるので、キタ~~~~~!!!と心の中でガッツポーズした。目の前の脚長爆イケ冴羽獠から発されているとは思えない、彩風さんの柔らかく甘い声なのも相まって優勝。
  • 槇村香(朝月希和)が登場して獠と背中合わせをしようとするもかわされる、からの頭ポンが狡い…香にはいじわるなのかと思いきや、ふっと優しい表情を見せるのよね。背中を預けられないことからバディとしてはまだ未完成な二人だけど、獠が香を大切に思っていること、香が獠を異性として意識していることが一度にわかる素晴らしいワンシーン。

 

  • 槇村秀幸(綾凰華)が格好良いというのも散々TLで見ていたんだけど…それにしたって格好良い。ズルい。長い襟足とトレンチコートが似合い過ぎる…と見惚れていたら、ジェネラル(真那春人)に乱射され倒れてしまうので固まった。
  • 死んでしまったらもう出てこないのか…?とまずそこの心配をしたのだが、幽霊刑事の神崎の如く、青白いライトを浴びながらずっと出て来てくれるので安心した。

 

  • 酔っぱらった獠が香のベッドに潜り込んで眠っているところ、1階席からだとふたりがどんな表情なのか全く見えずヤキモキ。
  • だぼだぼなパジャマ姿の香がめちゃんこ可愛い~~~。こんな可愛い子が横で眠っていても手を出さない獠、槇村兄との約束を忠実に守ってて偉い。
  • ツケの督促に来た勇梨(叶ゆうり)、周りから「ブス」って言われるけどめちゃくちゃ可愛くない…?ハイヒールも網タイツも似合い過ぎ。でも喋り方とおかみさんを背負って走れる強靭な足腰を見ておかまだな…と思った。そして劔会の三井も叶ゆうりさんが演じていたと終演後に知り慄いた。
  • あと野上冴子(彩みちる)のビジュアルが控えめに言って最高。ミニスカートから伸びる細く長い脚、キワッキワのとことまで伸びたスリット、スリットから覗く太ももに巻かれた短剣…美しくも強い女像がこんなに似合っちゃうことあります??冴子さんが脚を組んで座る度、あまりにもセクシーで女のわたしまでドギマギしちゃったよね。
  • そんな冴子が交際していた槇村兄への弔いのために獠を頼るの、なんかもう全てが良い。各キャラのビジュアルと設定が良すぎて、なるほどこれが不朽の名作か…と納得する。

 

  • ミックが空港に到着したシーンでCAを引き連れているのも良かった。やはり朝美絢さんには女を侍らせてて欲しい。顔のいい男(役)が女を引き連れている様は景気がいい。
  • 個人的には、「たった1人を愛す」という当然のことを最強のギャップに演出する装置が「女癖の悪いヒーロー像」だと思っているので、獠やミックが女の子たちに尻尾を振っている姿は微笑ましい。早く「お前(香)にマジ」の顔が見たいな~とにこにこしてしまう。

 

  • 香が新宿駅伝言板を見に行くシーン。伝言板に書かれた落書きが出てくる度にちゃんと内容が変わっていて、細部まで凝っているなぁと感心した。初日と千秋楽の日程を書いてるの可愛いね。
  • それで言うと、電光掲示板(を表現したスクリーン)で、作中の季節の変化に合ったセール広告が流れたり、「ベルサイユのばら」など当時の宝塚の上演作品が流れているのもこだわりを感じた。

 

  • 喫茶キャッツアイがせり上がって来てまず驚いたのは海坊主(縣千)のビジュアル。1人だけ本物の男性混じってません???と驚く。だってさ、よりにもよって海坊主よ。こんな筋骨隆々なヒゲ面を女性が演じて違和感ないのが凄すぎる。実際のところ縣くんの身長は172cmらしいが、体感2mはあった。
  • あと美樹(星南のぞみ)が頗る可愛い。MA-1の上からフリフリのエプロン着てて可愛いが勝る事ってあるんだね。こんなに可愛いのに、海坊主に育てられた戦争孤児で、元傭兵で、現在は海坊主の恋人は情報量が多すぎる。
  • 依頼人の宇都宮乙(千風カレン)から、息子を助けてほしい、末期がんの自分に残された僅かな時間を息子と過ごしたい…と懇願される獠。勝手にシティーハンターを名乗る息子を救出することに香は反対するが、「俺が依頼を受けるのは、美女絡みか、依頼人の本音に心が震えた時だけだ」と依頼を受ける。か、かっけ~~~!!!

 

  • 宇都宮乙の息子・豊(彩海せら)と敦(望月篤乃)が、義理人情に憧れて入ったのに、高倉健みたいな人はいなかった!と唇を噛みしめるので思わず笑ってしまった。そんな理由でヤクザになったらあかん。
  • それにしても、上納金5,000万円、麻薬密売ルートが入ったフロッピーディスク、劇薬のエンジェル・ダストを同じ金庫で保管している上、末端の豊にまで暗証番号が知られている(教えている?)せいで全部盗まれてしまった劔会、あまりにも危機管理意識がガバガバで心配になる。
  • でも劔会から追われる身になったのに、シティーハンターを名乗って5,000万円すべてを児童養護施設に寄付した豊は間違いなく義理人情の塊。
  • 豊が勝手にシティハンターを名乗ったのを良いことに、獠に罪を着せるため刑事の北尾裕貴(眞ノ宮るい)が劔会の1人を射殺する。やってることはマジで最低なのだが、北尾のビジュアルが癖に刺さりまくってしんどい。許しちゃうじゃんか。というかわたし、もしかしなくても麗人の眼鏡姿を前に非力すぎでは…?(ex.桜木ヴラド、もえこポーロック)
  • あと冴子の同僚?後輩?の織田(星加梨杏)がドタドタしていて終始可愛い。「レインボーブリッジが封鎖できません!」と踊る大捜査線のネタを挟んで、冴子に「ドラマの観過ぎよ」とツッコまれているのも微笑ましかった。

 

  • Get Wild』のイントロが爆音で流れ始めてテンションも急上昇。ついに来た!待ってました!!
  • 獠が銀橋で銃の形にした手で客席をバンバンバンと撃つのだけど、座席がドセンだったので見事ぶち抜かれました。声が漏れていたのではと思うくらい胸がギュンってなった。キュンを超えてギュンね。
  • あともう単純に彩風さんの歌声が良い。この声に『Get Wild』を歌わせた齋藤先生が天才すぎる。
  • それから、 ♪解けない愛のパズルを抱いて~ で前に出した両手首を回しながら指をぐにゃっと動かす振付(語彙力の限界)が、彩風さんの指先の美しさが際立たせていてとても良いなと思いました。あの指にこちらの心まで鷲掴みにされるって訳ね。
  • 過去回想では、海原神(夏美よう)を父と慕っていた幼き獠と、一人前の傭兵となり海原と決別する獠が背中合わせになりスイッチングするシーンが良かった。あと傭兵姿の彩風獠が爆裂イケメンだった。ありがとうございます。

 

  • ミックの的外れなことわざの羅列にツッコむ香が可愛い。というか朝美さんの滑舌が良いので、わざと訛りのある話し方をしてても綺麗に聞き取れる。素晴らしい。
  • 冴子からグジャマラのアルマ王女(夢白あや)の護衛をお願いされるも、アルマ女王が17歳と聞いた途端「俺は18歳未満のお子様の依頼は受けない」「子守りは御免だ」と断る獠。でもこれ、過去回想に出てきた一度救った王女だと気付いてて頑なに断っている…?だとしたら何故?王女を守ることで決別した海原と再会してしまうのを避けるため?などと考えを巡らせた。

 

  • ねこまんまを訪れた獠とミック。ソファに踏ん反り返って猫耳の女の子たちに囲まれる2人、絵になるなぁ。
  • というかねこまんまの子猫ちゃんたちのお衣装めちゃんこ可愛かったな~。
  • そこに逃げ込んで来る豊と追いかけて来た劔会。ソファの奥に隠れつつも、邪魔されてちょっと不満げな子猫ちゃんたちが可愛い。
  • 襲い掛かってくる劔会の幹部たちを、ミリタリーコートのポケットに手を突っ込んだまま次々薙ぎ倒していく獠が格好良すぎ!手を下すまでもない、ってまさにこれ!ブラボー!
  • あと拳銃を手に取る度に、さりげなくガンプレイをしてる獠凄くないですか…?タカラジェンヌってガンプレイまで習得するんだ…と感動した。
  • 最終的に、依頼通り豊を助け出した獠が報酬である保険金3億円の書面を破るのには痺れた。長生きする理由ができたからこれは必要ないな、てどこまでも格好良い。

 

  • 獠とデートがしたい一心で誘拐騒動を自作自演してしまうアルマ王女。クーデターから逃れるため遥々日本まで来てるんだから、もうちょっと緊張感持って!とツッコみたくなる。
  • 獠のミニクーパーに潜んでいたアルマ王女。観念した獠からどこに行きたい?と聞かれて「ディスティニーランド!」と嬉しそうに答えるも、獠のカーナビが勝手に行き先を行きつけの「ピーーーー」に設定してしまう。
  • 結局、追ってから逃げたり、速度オーバーで冴子たちに捕まったりしてるうちにすっかり夜に。その代わりにと新宿の夜景をプレゼントする獠、女のツボがわかってるんだよなぁ。
  • 夜景をバックにアルマ女王といい雰囲気になる中現れる香に、めちゃくちゃフラグ立ってるから振り返っちゃダメだーーー!と心の中で叫ぶも届かず、アルマ女王からキスをされる姿をバッチリ見てしまう。辛い。
  • その上、香が動揺しているところに劔会が現れ、アルマ女王が攫われてしまう。これぞ泣きっ面に蜂。獠からプロ失格だと言われ、さらにショックを受ける香。
  • 傷付いた香に近づくミック。一緒にアルマ女王を奪還して獠を見返してやろう!と誘う。策士なミックも素敵やん…。

 

  • 劔会から指定された倉庫では、獠と豊で一足先に劔会と交渉をしていた。そこにミックと現れバズーカをぶっ放す香。100tハンマーといい、腕力が男勝りすぎる。
  • アルマ女王救出成功!と思いきや、ミックはユニオン・テオーペから雇われていたスパイで、香を連れ去ってしまう。
  • と見せかけて、実はミックは獠から雇われたダブルスパイ。香を獠から引き離し、自分の側に置くことでユニオンから標的にされることを避けたと解釈したのだけれど、これは獠の指示なのかミックの判断なのか。どちらにせよそれは"愛"じゃん…。

 

  • そして獠と仲間達でユニオンのアジトに潜入する前に、銀橋上手で美樹が海坊主に行かないでと縋るシーンで、切実な美樹と男らしい海坊主にグッと来たよね。
  • そんな海坊主に「美樹ちゃん泣かせんなよ」とウインクする冴羽獠…格好良すぎて頭を抱えた。
  • 全然活躍はしないけど、ちゃんと主題歌と共にキャッツアイが登場するのも良い。
  • 獠から「もうこんなに片付けたのか」と声を掛けられ「上演時間てのがあるからな!」とメタ発言で返す海坊主が面白過ぎた。あとバズーカをぶっ放す海坊主の腰の落とし方がやけにリアル。縣くんどこかで研修してきたの?
  • そこに突入してくる警察部隊と野上警視総監(奏乃はると)。終始野上3姉妹の前でも総理(の電話)の前でもうだつの上がらない姿を見せていたのに、ここにきて最高権力を見せつけてくれるの最高。

 

  • 解放された香が獠と背中合わせになった瞬間、スクリーンに「CITY HUNTER」の題字が映る演出は胸熱過ぎた。だってオープニングは背中合わせになろうとして獠から肩透かし食らってるんですよ…素晴らしい対比。
  • 兄の仇であるジェネラルを追いかける香と、香を追いかける獠とミック。
  • ジェネラルを目の前にして拳銃を構える手が震えてしまう香。すると香の背後に槇村兄の亡霊が現れ、「脇を締めろ、ロックオン…今だ!」という兄の声に合わせて発砲する。死んでなお妹の手を取る兄の姿に涙腺が緩む。
  • しかしその後「初めて人を殺した…」と香が罪の意識に苛まれている姿を見るに、香の性格で兄の仇とはいえ人を殺してしまったらそうなると獠は予見できただろうし、みすみす香に殺させるようなことをするのか?という疑問も残る。
  • 結局、あの場にいた香、獠、ミックの誰がジェネラルを死に至らしめたのかは神のみぞ知る、正しくは齋藤先生のみぞ知るになってしまった。ヲタクは殴り合いの余地を残された訳である。
  • 個人的には、香の弾は実はジェネラルに当たっておらず(ないしは致命傷に至らないような場所に当たるよう槇村兄が指示していた)、獠が同時に撃った弾でジェネラルは死んだ説が良いなぁ。物語序盤、香が的めがけて撃った3発はてんでバラバラの方向に当たっていたけど、獠が撃った1発はど真ん中的中だった訳だし…あのシーンを入れた意味をここで見い出すなら可能な解釈かなと思っている。(射撃が得意でない香が、槇村兄のおかげで仕留められたとも解釈できるんですけどね…)

 

  • シティーハンターとして獠の隣に居られないと思い詰める香に、一緒にアメリカに行かないかと誘うミック。ミックは真剣に香を口説き落としに行っているのに、香は獠から離れる手段としてミックの誘いに乗るのは切なすぎる。香は悪くないけど、ミックがあまりに不憫。
  • 獠は獠で、香を想うばかりにバディを降りる香を止めないのも切ない。香には穏やかに幸せな暮らしをして欲しいって、それは戦いの前に美樹が海坊主に願ったのと同じことなのよ。それくらい香が好きだってことに、無自覚なのか自覚してて目を背けているのか…本当にじれったい。

 

  • おめかしして海坊主の結婚祝いに喫茶キャッツアイを訪れる獠。それまでずっとカジュアルな装いだったのに、突然のタキシード姿にドキッとする。最高。
  • 獠から渡されたプレゼントを開けると、中には猫が入っていたため、海坊主はカウンター下に倒れ込んでしまう。サングラスが外れたまま海坊主が顔を出すと、「サングラス取ったらキラキラ宝塚系なんだな~!」と獠に茶化される。まさかここで笑いを取りに来るとは。声出して笑っちゃった。
  • 一人寂しくキャッツアイを後にすると、背後から現れるドレス姿の香。美樹さんたちのお祝いに帰って来たんだもん!という香の照れ隠しに、ならさっさと行け〜と軽口を叩く獠。あぁもう最後までむず痒い。愛おしい。
  • CAたちに囲まれたミックが「やれやれ、手の掛かる2人だなぁ(ニュアンス)」とリクライニングから語るは、余りにも神々しかった。火10の覇者こと間宮祥太朗向井理も驚く見事な当て馬っぷり。アメリカまで一緒に行ったのに、最後はヒロインが本命の元へ行くのをあと押しするなんてどこの花沢類だよ。香がミックを選ばないならわたしがいただきますよの気持ち。
  • ラスト、宝塚らしく獠と香が抱きしめ合って終わる…とかじゃなく、獠がお姉さんをナンパしはじめて香が怒って追いかける、という構図で終わるのも良かったな。

 

 

Fire Fever!

  • 冒頭で朝美絢さんがフッ…と息を吹きかけた瞬間、ステージがパァッと輝いて見えるから凄い。流石は魔法使い。ティンカーベル的な魔法の粉が見えたもん。(幻覚)
  • あとパンフレットに「ジャングルガイAが登場。女たちを引き連れ激しく踊る」ってあるの、やっぱり朝美絢に女を侍らせたい欲は演出家の皆様の総意なんだな…と思ったよ。解釈一致。
  • オープニングの炎をイメージした衣装やジャングルを模した舞台セットに謎の既視感を覚えたのは、恐らくディズニーシーで上演されていたミスティックリズムのせい。(ミステックリズムが終わったのがもう6年も前という事実に慄いた)

 

  • Fire Fever!のテーマ曲、めちゃくちゃ耳残り良くないですか?1回しか聴いてないのに頭の中でずっと流れてる。
  • というか、宝塚のショーのテーマ曲はだいたい1回聞いたらサビを覚えてしまう説。思えば月組ドリチェも宙組デリシューも1回観てサビはもう歌えたもんな。キャッチ―で耳残りの良い曲が当たり前のように毎回用意されている世界、凄すぎる。
  • 彩風さん、CITY HUNTERでは三白眼気味だな〜くらいにしか思っていなかったけど、ショーになった途端ギラッギラの三白眼でビックリした。というか本当にさっきまで冴羽獠でした?と困惑するくらい顔つきが違う。全員まとめて抱いてやるよ!って顔してる。
  • 希和ちゃんは目が大きくてお肌が真っ白でお人形さんみたい。これは香を演じているの時から思っていた。あと彩風さんと10cm差しかないって本当?と後で驚いたくらい希和ちゃんが小柄に見える。娘役マジック。

 

  • ジョヴァンニ朝美さん。金髪にピンク髪が混ざったざっくりポニーテール姿。髪の毛振り乱してるのが可愛い。あとでこの鬘にはver.違いがあると知り、そういうことしちゃう人(ex.桜木レザン)大好き…と頭を抱えた。
  • それにしても、ここでも「誰もが私と恋に堕ちる運命」と女の子を侍らせてる役なの面白過ぎる。いやわかるよ、女の子に囲まれてない朝美絢は本物の朝美絢じゃない!って気持ち。
  • ジョヴァンニがあっちこっち目移りした結果、ドンナたちvsフィリアで争い出すドロドロの展開になったため、ジョヴァンニがドンナたちに刺し殺されてしまうのでは…と心配になる。
  • そこに扇子で顔を隠したドレス姿の女性?が現れ、ジョヴァンニが口説くとまさかのお父さんでお仕置きをされる展開にクスリ。最強の当て馬ミックにも、情けないナンパ王子にもなれる朝美さん最高。

 

  • 場面が変わり、黒にオレンジのアクセントが入ったスーツ姿にソフト帽姿の男役の登場。衣装の装飾を削ぎ落としてシンプルにすればするほど本人の顔やスタイルの良さが筒抜けで良いんですよ…Fire Fever!で一番好きな衣装はこれかもしれない。
  • そんなシンプルイズベストのイケメン集団の中心に現れるのはゴールドのスーツに身を包んだ彩風さん。こんなんもう、コンクリートジャングルを照らす光そのものじゃん、教祖様じゃん…。
  • くるっと振り返ってポーズ取るところも彩風さんのお尻の位置が異様に高くてびっくりした。彩風さんの脚が長い話だけでブログ書けそうなくらい脚長~と思ったポイントが無数にある。

 

  • ロケットでは彩風さん以外の男役が上級生もダルマにされていたので目が飛び出しそうになった。観客どころか組子も全員まとめて抱きに行くスタイルの彩風さん格好良すぎ。
  • ロケットのお衣装がゴールドにピンクの羽根とフリルで可愛い!黒の帽子は衣装の甘さを抑えるため?それとも髪型バラバラなのを隠すため?
  • 朝美さんの麗しいダルマ姿を一目見れて嬉しかったと同時に、2番手男役をダルマにするの流行っているのか…?と野口先生に思いを巡らせる。キキちゃんのだるまもそれはそれは美しかった。
  • あとこのあたりでおや?と思ったのだけど、朝美さん出ずっぱりじゃない?体力どうなってるの…?

 

  • パステルグリーンのワンピースを着た希和ちゃんが登場し、語りが始まったところでミュージカルが始まった…!?とビックリする。
  • 希和ちゃん演じるブランカの遺された恋人役が、第1幕で槇村兄を演じた綾凰華さんなのは偶然か必然か。第1幕と第2幕で遺される側が逆転するのはズルい。そういうことをされると前世とか考え始めて、勝手に涙腺が緩んでしまう。
  • オープニングでは真っ黒な衣装だった彩風さんが、ここでは不死鳥をイメージした真っ赤な衣装なのも素敵でした。ここに不死鳥姿になった希和ちゃんが加わるのも良い。
  • このあとの下級生ピッックアップでは、縣~!と呼ばれてにっこにこで踊る縣くんがでっかい犬にしか見えなかった。なるほど、これが噂のモプシー!(違う)
  • 冷静に、こんなわんこが第1幕で海坊主演じてたとは思えない。やっぱりとんでもないところだ宝塚…。

 

  • そしてこの後シルバーの燕尾服に身を包んだ男役の群舞が始まるわけですが、そこでなぜか朝美絢さんからロックオン"される"という事件が発生。
  • 白状すると、この日10倍率の双眼鏡(オペラグラスと呼ぶにはちょっとゴツい)を持参していまして、第1幕からちょこちょこ朝美さんを双眼鏡で追いかけていたんですね。それで群舞の時も朝美さんを見ていたら、体感5秒ほど双眼鏡越しにじっと見つめられ、更に目を離す直前に朝美さんの口角がフッと上がったんですよ、「はい、堕ちた」と言わんばかりに。
  • あまりの出来事に、思わず双眼鏡を持つ手が震えてしまった。団扇もペンラもないのに、こんなことあるんや…としばし放心状態だったので、デュエダンが始まるまでの間の記憶はかなりおぼろげ。

 

  • でもさききわデュエダンのあまりの美しさにハッと意識が戻った。
  • それにしてもデュエダンのお衣装はキラキラしていればしているほど良いですね…2人のために星屑が舞い降りてきたような眩いお衣装でとっても素敵でした。
  • 観劇直後にTwitterでも呟いたのだけど、希和ちゃんを見つめる彩風さんの瞳が本当に優しくて。それまでは観客に向けたギラギラした瞳だったのに、デュエットダンスではその瞳に希和ちゃんしか映っていなくて、完全に2人の世界に入り込んでいるのが良かった。そしてそれを固唾を呑んで見つめる観客の図。最高。
  • さききわが素敵すぎてデュエダン終わりに静かに涙が流れた。

 

 

おわりに

今回で完全に朝美絢さんに堕ちたので、次回公演からはソラカズキと共に応援させていただきたいと思います…また色々お勉強せねば。

とか言いながら華麗に追いチケをキメたので、早速今週末雪組を浴びてきま〜す!(ダブルピース)

『ブライトン・ビーチ回顧録』9月22日の記録

ジャニヲタ15年目にして、自分の誕生日に現場に行くという夢を遂に叶えました。全てはチケットを当ててくれた勝利担の妹のおかげ。合掌。

今回座席は1階H列上手側だったのですが、「もしかして勝利くん、わたしのこと好きだったりします???」と図々しい勘違いをしそうになるくらい何度も目が合いました。生まれて来て良かった〜〜〜!もう妹に足を向けて眠れない。

以下、あらすじと感想。ネタバレ注意。

 

 

あらすじ

ニューヨーク州ブルックリン地区にあるブライトン・ビーチで暮らす14歳のユダヤ系の少年ユージンと、その家族の物語。世界恐慌真っ只中、第二次世界大戦の足音が聞こえる時代に、貧しくも懸命に生きる一家を描いている。

『ブライトンビーチ・回顧録(原題:Brighton Beach Memoirs)』はブロードウェイを代表する喜劇作家のニール・サイモン(1927-2018)の少年時代を描いた自叙伝で、初演は83年。

 

 

印象的なシーンと感想

  • 入場するとすでに舞台の幕は上がっており、舞台上にはまるで "シルバニアファミリー 赤い屋根の大きなお家" を等身大にしたかのような、精巧な二階建てのセットがそびえ立っていた。心の中の幼女、大喜び。
  • 1階は下手から玄関、ダイニング、リビング。リビングの手前にある階段を上ると、手前(上手)からノーラとモーリーの部屋、バスルーム、ユージンとスタンリーの部屋という造り。セットチェンジないので各部屋の小物も細部まで細かく作り込まれていて、開演前の時点で既に相当楽しい。
  • 開演ベルの代わりにドイツ語の軍事放送が流れ出す。1937年当時はヒトラー政権下であることから、ヒトラーの演説か?

 

  • 上手からニューヨーク・ヤンキースの帽子を被ったユージン(佐藤勝利)が登場。庭のある下手へ走って行くと、独り野球実況ををマネしながら壁当てキャッチボールをして遊ぶ。
  • ダイニングにはユージンの母のケイト(松下由樹)と叔母のブランチ(須藤理彩)の姿が。目の悪いブランチがいつまでもミシンで作業をしているのをたしなめたり、壁当てをするユージンにうるさいからもうやめなさい!と叱ったりと忙しい。ザ・お母さん。
  • リビングでは従妹のローリー(岩田華怜)がソファでくつろいでいる。病気がちなローリーは家の手伝いを頼まれることもなく、読書をして過ごしていた。
  • 喘息、癌、高血圧、など病名を全て小声で言うユージン、可愛いね。

 

  • 従姉のノーラ(川島海荷)が上機嫌な様子で帰宅するなり、ユージンに「ただいま、ハンサムな私の従弟!」と言いながらハグをする。
  • セクシーに囲まれていると勝利くんをハム太郎サイズと錯覚しがちなのだけど、背伸びをした川島海荷ちゃんよりもずっと身長が高いのを目の当たりにして、勝利も男だったんだね…とめちゃくちゃにときめいてしまった。
  • 調べたところ、川島海荷ちゃんの身長は155cmらしい。16cm差、最高やん…と思ったら、聡ちゃんとマリウスも16cm差だと気付く。聡マリは宇宙。
  • そしてノーラに抱き着かれたユージンは「胸が当たった~!」と自分の肩を抱いて大はしゃぎ。あまりの可愛さに眩暈がした。
  • 勝利くんが『ブライトン・ビーチ回顧録』の主演に決定したというニュースが出た時は、「第二次世界大戦前夜、野球、セックス、勉強・・・揺れ動く多感な少年期の想い出と~」というあらすじを読んで、セックス!!?と慌てふためいたものだが、な~るほどこういう感じね!と安心。

 

  • ライ麦パンと1/4ポンドのバターを買いに走らされるユージン。「昼にも1/4ポンドのバターを買いに行ったばかりだよ、一度に1/2ポンド買えば良いのに!」とケイトに意見するも、「夕飯を作る前に家が火事になったらもったいないでしょう!」と返される。クスっと笑えるシーンの中からも、少しも無駄にできないこの家の貧しさが伝わる。
  • お遣いの帰りにいつもより早く仕事から帰ってきた兄のスタンリー(入野自由)に会ったユージンは、同僚を庇ったばかりに明日の朝までに社長に詫び状を書かないとクビになると打ち明けられる。
  • 入野自由さんの出演しているアニメ作品は数多観てきたけれど、お芝居を観るのは初めてだったので演技力の高さに改めて惚れ惚れしてしまった。18歳のお兄ちゃんにしか見えないけど、実際は33歳という…凄いすぎる。
  • あと、ユージンがライ麦パンで庭先のバケツにタッチダウンをキメるシーンがあったのは、入野自由さんがアイシールド21で主人公・小早川瀬那役だったから?とか変に勘ぐってしまった。原作通りだったらごめんなさい。

 

  • その後ユージンが帽子を脱ぐと後ろ髪が一束ぴょんと跳ねていて、キッチン奥に捌けるまでの間ずっとぴょんぴょんさせてた。可愛い。
  • 大きな段ボールを2つ抱えて帰ってきた父のジャック(神保悟志)を、玄関先まで迎えに行くユージン。文句言いながらもお遣いには毎回行くし、重たい荷物も持ってあげるし、グラスに水を注いで持っていってあげるのも優しい。
  • あと重そうに荷物を運ぶ演技選手権があったら勝利が優勝です。

 

  • 掛け持ちしていた仕事先で突然解雇され不機嫌なジャックに、クビの危機にあることを打ち明けたいスタンリーと、ブロードウェイのプロデューサーから声を掛けられオーディションを受けて良いか相談したいノーラ。
  • 食卓が重苦しい雰囲気なのをいいことに、ユージンはわざとナプキンを何度も落としてはノーラの脚を覗き見たり、大嫌いなレバーをマッシュポテトの下に隠して事なきを得ようとする。一家のムードメーカー、良い仕事っぷり。

 

  • 兄弟部屋では夢精とわからないまま夢精を体験したことを話すユージンに、スタンリーがマスターベーションについて教える。
  • 大学生なんてマスかいてばっかりなんだぜ!とか、女の子は男の5倍もするんだぜ!とか、あることないこと教えるスタンリー。
  • それを聞いたユージンは、「自分が女の子だったらずっとおっぱいを触れるのにな〜」と目をキラキラさせながら自分の胸を揉みしだく。
  • 「女の子のやり方を教えて、紙とペンならあるよ!クレヨンの方が良い?」と矢継ぎ早にお願いするユージンに、遂には今それどころじゃない、明日仕事をやめるかが掛かってるんだ!と怒るスタンリー。正論です。
  • しばらく下品な話題が続くのだけど、ふたりがやり取りしてると嫌な感じがしないから不思議。

 

  • バスルームでユージンがおもむろにズボンを下ろし始めた時は驚いて目をかっぴらいてしまった。白い下着を穿いたまま便器に跨り一安心。
  • しかしその後ノーラに扉を開けられてしまい、咄嗟にバスカーテンで隠しながら「わー!扉閉めてー!!!」とユージン絶叫。叫ぶ方、逆では…?
  • 扉が閉まった途端、慌ててズボンを履いて2段ベッドに駆け込み「ノーラに便器に跨ってるところ見られちゃった…もう死にたい…」と枕に顔を埋めたまま、手で枕をボスボス叩く。えーんユージンがずっと可愛いよ〜〜〜。

 

  • 結局、お母さんの意見が聞きたいというノーラに対し、ジャックと話すように言ったり、ジャックは何て言ったの?と最後まで娘の将来に関わる判断を義兄に委ねるブランチには呆れてしまった。母親という自覚があまりにも乏しい。
  • 一方のノーラは従兄弟の家にお世話になっている現状からどうやったら抜け出せるのか、子どもなりに一生懸命考えているのが泣ける。親が不甲斐ないばかりに、子が歳不相応にしっかりしてしまう典型だと思った。ノーラ、幸せになるんだよ…。
  • ブランチとは対照的に、ジャックはスタンリーからクビになるかも知れない経緯を打ち明けられ、息子の信念は認めた上で、社長に詫び状を書く様に説得する。スタンリーの尊厳を守りながら、正しいことと正しくないことをきちんと説けるジャックは良き父だなぁと思った。
  • そうして、明日までに詫び状を書くことになったスタンリーは、成績優秀なユージンに代筆を頼む。ユージンは代筆する代わりに、ノーラの裸がどんな風だったか教えて!と興味津々。スタンリーが説明し始めると、「もっとゆっくり!」と詳しく聞き出すうちに暗転、第一幕終わり。

 

  • 第二幕冒頭、ユージンがリビングのソファ横にあるビーチチェア様の椅子にサスペンダー姿で寝転んでいるのだけど、馬鹿みたいに近くてドキドキする。
  • ユージンがリビングにいるときは大体目が合ってる気がしたので、上手前方席で大当たり。逆にユージンが2階の2段ベッドで寝転んでいる時はほぼ見えないので、横になってる姿も観察するなら2階下手側が良さそう。

 

  • ジャックから4人分のアイスを買ってくる様に言われ、ベストを着に部屋に行くユージン。外出する時はちゃんとベストを着るの、可愛いね〜。
  • そしてユージーンとローリーが1ドルを握りしめてアイスを買いに出掛ける。(当分帰って来ない)

 

  • お向かいの男性とディナーを食べに出掛けるためにおめかしをするブランチ。ケイトがブランチにタクシー代に5ドルを持たせるため、スタンリーのお給料を受け取りに行く。
  • しかしスタンリーは病気で休業中の父の分も稼ごうと参加したポーカーで、給料17ドルを全部スってしまっていた。

 

  • リビングに戻ったケイトは、ショックで泣き出してしまう。そこに無神経にもどうしたの、と声を掛けるブランチ。ふたりは言い争いになってしまう。
  • 義兄のジャックと甥のスタンリーの稼ぎで自分と娘2人の面倒を見てもらっている立場のブランチが、「ジャックが倒れたのはわたしのせいだって言うの!?」とケイトを責める姿には絶句。
  • 挙句、今すぐ出て行って友達の家から仕事を探します、仕事が見つかったら子どもたちを迎えに来ますってあまりにも考えなしだし無責任過ぎない…?
  • 最終的にわたしが言い過ぎたわ、出て行く必要なんてないと折れるケイト、どこまでもお姉ちゃんなんだよな〜〜と感心してしまった。

 

  • 一方、スタンリーは今回のけじめとして家を出て行き、陸軍へ入隊することを決意。セーターや上着を着れるだけ着て野宿に備える。無一文のスタンリーは、ユージンからなけなしの貯金を分けて貰う。
  • ユージンの宝物入れには貯金と一緒にスタンリーが学校で貰った金メダルも入っていた。スタンリーにとってはガラクタでも、ユージンにとっては宝物。ユージンが兄を心から尊敬していることが伝わるシーン。
  • 成績優秀なユージンに、お前は大学に出て作家になるんだ、俺みたいに人でなしにはなるなよ。いいな?と言うスタンリーに、「お兄ちゃんは人でなしじゃないよ」と返すユージン。互いを想い合う兄弟に泣けてしまう。

 

  • それから数日後、「お遣いオリンピック優勝です!」と元気に家に帰ってくるユージン。帰ってくるなりケイトから声を掛けられ、「今度は小麦を小匙一杯だけ頼む気?」と軽口を叩く。
  • するとそこに、スタンリーが帰ってくる。結局スタンリーは軍に入隊するのを思いとどまっていた。スタンリーが帰ってきて嬉しそうなユージンとケイト。
  • スタンリーがジャックに謝罪をすると、ジャックの兄は軍人で戦死したこと、だからスタンリーが入隊しなくて安堵したこと、ユージンはお前を尊敬しているから大切にしてあげて欲しいことを伝える。そして今夜はポーカーのやり方を教えてやろうと言うジャック。ジャックはどこまでも息子の尊厳を守るのだなぁと、心があたたかくなった。
  • スタンリーからこっそりフランス人女性のヌード写真を貰ったユージンは、初めて見た女性の裸に大興奮。
  • 2段ベッドの上で仁王立ちになり、「黄金に輝くヒマラヤの宮殿…!」と叫ぶユージン。暗転して行く中、金色に照らされるユージンがシュール過ぎた。

 

  • カーテンコールは3回。毎回子どもたち4人が2階から出て来て、2階へ帰って行くのが可愛かったな〜。わたしなら息が上がってしまう。
  • カーテンコールの時には14歳のユージンの姿はなく、コンサート会場でファンサ団扇にペコペコしてる佐藤勝利くんがいた。3回目はお手振りしてくれて、思わずわたしも手を振り返してしまったよね。世界一可愛いよ、勝利!!!

 

 

おまけ

カーテンコールが終わり席に座る際、自席のすぐ後ろにあった出入り口に向かう聡ちゃんを目撃。サラッサラの黒髪、黒マスク、グレー系のチェックのセットアップ姿でした。間近に見た聡ちゃんはステージで観たよりずっと華奢で、いっぱい食べるのよ…!と母性が爆発してしまった。『赤シャツ』も無事に終わったことだし、今は好きなものわしわし食べて欲しいな。

『赤シャツ』9月19日マチネの記録

感想が上手くまとまらず、書いては消してを繰り返していたらすっかり時間が掛かってしまい…気付けば今日は大千秋楽。おめでとうございます。

今回は一般発売で何とかチケットが取れたものの…「死の席」と名高いブリリアホール3階最上手席。という訳で、今回はまず座席の話から。

 

 

座席について

f:id:ma_waremiracle:20210921185644j:image

図のグレー部分は売り止めで黒カバーがされていた座席で、自席は図の赤丸。座席の前には謎のバーもあったが、163cmのわたしの視界を遮るほどの高さではなかった。

また、音響もさほど悪くないと感じた。場面転換時の生演奏が籠って聴こえることはなかったし、聡ちゃんがたくあんを咀嚼する音までしっかり聞こえた。

ただ、座席位置が高すぎるので上手側にいる演者が下手側を向いてしまうと表情を見ようにも頭頂部しか見えない瞬間があり、評判が良くないのはこういうことか~と納得。個人的には聡ちゃんのTSU・MU・JIをまじまじ観察できて楽しかったよ。

座席の話はここまでにして、あらすじと考察を。

 

 

あらすじ

今作は、夏目漱石『坊ちゃん』に登場する敵役・赤シャツを主人公に据え、『坊ちゃん』を赤シャツの視点で描いたマキノノゾミ氏の戯曲。初演は2001年。

 

 

印象的なシーンと考察

坊ちゃんの性格も大概?

「親譲りの無鉄砲」を免罪符に考えなしの行動ばかりしている坊ちゃん。裏表はないが、かと言って竹を割ったような性格とは言い難いように思う。例えば、原作『坊ちゃん』の中で赤シャツの第一印象を以下のように語っている。

挨拶をしたうちに教頭のなにがしと云うのが居た。これは文学士だそうだ。文学士と云えば大学の卒業生だからえらい人なんだろう。妙に女のような優しい声を出す人だった。もっとも驚いたのはこの暑いのにフランネルの襯衣を着ている。いくらか薄うすい地には相違なくっても暑いには極ってる。文学士だけにご苦労千万な服装をしたもんだ。しかもそれが赤シャツだから人を馬鹿ばかにしている。あとから聞いたらこの男は年が年中赤シャツを着るんだそうだ。妙な病気があった者だ。当人の説明では赤は身体に薬になるから、衛生のためにわざわざ誂えるんだそうだが、入らざる心配だ。

引用元:夏目漱石 坊っちゃん

  • 自分より学のある人が年中赤シャツを着ているからといって、「人を馬鹿にしている」と感じる人間はかなり少数派ではないだろうか?「妙な病気があった者だ」なんて思う方が気が病んでいそうなものである。
  • 実際、同志社大卒で赤い服しか着ないカズレーザーに対してそんな風に言っている人間を見たことがない。せいぜい「変わってるね」とか「どうして赤ばっかりなんだろう?」とかそんなところだ。
  • だが坊ちゃんは、赴任先の教頭と軽く挨拶を交わしただけでここまで偏見を並べられるのだ。ある意味天才である。文学士であることに何度も触れていることからも、坊ちゃんは学歴コンプレックスが強いことが伺える。
  • 赤シャツの存在自体が疎ましい坊ちゃんからしてみれば、赤シャツが何をしてても気に食わないのだ。だから悪い噂を聞けば鵜呑みにして「ほら、やっぱりな」と一人合点してしまう。

 

赤シャツは策士か、八方美人か

「人の数だけ真実は存在する」とはよく言ったもので、主人公が変われば見える世界も異なる。原作『坊ちゃん』では陰湿な策士として語られていた赤シャツだが、今作『赤シャツ』ではむしろ周囲に翻弄されっぱなしの八方美人として描かれている。

  • 第一場。赤シャツ宅の客間で、5回目となるミューズの会が開かれる。メンバーは赤シャツ(桐山昭史)、うらなりこと古賀先生(吉村卓也)、野だいここと吉川先生(越村友一)、マドンナこと遠山はる子(北香那)。
  • 赤シャツの弟・武右衛門(松島聡)は悪戯っ子で、古賀先生に大きな声で挨拶をして驚かせたり、「良いお天気じゃなくても"ぐーど・もーにんぐ"と言うのはなぜですか?」などと質問をして困らせる。
  • 下女のウシ(高橋ひとみ)や古賀先生の前では、寝転んで駄々をこねたり、きゅるんきゅるんの瞳で見つめてみたり、甘えた声を出してみたりと、子供よりも子供らしい武右衛門。世界一可愛いよ〜!天晴れ!と心の中で聡ちゃんに拍手を送る。
  • 古賀先生が今回、婚約者の前で発表をすると聞いてミューズの会に参加したいと赤シャツにお願いする武右衛門。兄の前では姿勢を正し、表情も一変して大人っぽくなることから、どうやら兄には心を閉ざしているらしいとわかるシーン。赤シャツも武右衛門の参加を許さず、武右衛門はふてくされながら温泉へ出かける。
  • そうして、ミューズの会は予定通り4人で始まる。古賀先生が翻訳『巨人引力』を読み上げようとするも、吉川先生がウシの名前を馬鹿にしてみたり、ウシが客間に入ってきたり、はる子によって遮られたりと、全くその先に進めない。
  • 遂にはる子に促される形で、古賀先生とはる子の婚約が破談になったことを皆に報告し、その場を立ち去る古賀先生。それに対し、早速赤シャツに猛アタックを始めるはる子。もともと親同士が決めた婚約で、古賀家の金銭的な事情で破談になったとは言えあんまりである。
  • 美人なはる子に言い寄られて悪い気がしない赤シャツは、世間体が気になるものの彼女の好意をハッキリと断ることができない。目を閉じ唇をとがらせるはる子に、うっかりキスしそうになっては正気に戻る赤シャツ。そんなやりとりを押し入れで盗み見ていたウシからは、八方美人だと呆れられてしまう。
  • 甘木先生が遊女を攫って逃げたという話を温泉で聞いた武右衛門が慌てて帰ってくる。その話を聞いた赤シャツは胃が痛くなってしまう。赤シャツの身体を心配する武右衛門に、心根は優しい子なんだな…とほっこりしていると、僕も胃が痛くなった!と突然ゲラスイッチが入る武右衛門。どうした。手ぬぐいを振り回しながらゲラゲラ笑い転げる姿は完全におそ松作画だった。
  • 原作『坊ちゃん』では、古賀家の金銭的な理由から婚礼が延びている間に、赤シャツの方からマドンナに言い寄り手懐けてしまったと語られている。しかしこれは坊ちゃんが下宿先のお婆さんから聞いた噂話に過ぎず、坊ちゃんとマドンナの間に面識はない。

 

  • 第二場。山嵐こと堀田先生(神農直隆)の昇進祝いに角屋を訪れた赤シャツは、新たに赴任して来る坊ちゃんの面倒を見て欲しいと堀田先生に頼む。
  • 赤シャツは甘木先生の行動を教師あるまじきと恥じるが、堀田先生は遊女となってしまった幼なじみを救うべく攫った甘木先生は男らしいと称賛する。
  • するとそこに、赤シャツと馴染みの芸者である小鈴(桜咲彩花)が訪れ、ロシア人捕虜のお座敷に呼ばれているが、ロシアとの戦いで戦死した兄を想うと舞えないと言う。小鈴にお金は僕が払う、舞わなくて良いと優しくする赤シャツに対し、あなたは舞うべきだと諭す堀田先生。赤シャツにべったりだった小鈴は一変、男らしい堀田先生に惚れてしまう。
  • 堀田先生に小鈴と馴染みであることを知られたくない赤シャツであったが、小鈴が察することなくベタベタするもんだからバレてしまった上に、最終的に赤シャツが袖にされる。面目丸潰れとはまさにこのこと。あまりにも赤シャツが不憫でびっくりした。
  • びっくりといえば小鈴役の桜咲彩花さんの透明感にも驚いた。そして圧倒的に所作が美しい。ここでも元タカラジェンヌの美しさにうっとり。

 

  • 第三場。赤シャツの書斎で大量のイナゴを逃がしてしまい、慌てて捕まえる武右衛門と手伝うウシ。床を這ってイナゴを捕まえている画がなんだか微笑ましい。赤シャツにイナゴを放したことがバレそうになって慌てふためく武右衛門は、やっぱり作画がおそ松だった。もうずっと可愛い。
  • 武右衛門がイナゴを無事に回収し終え出掛けると、入れ違いに古賀先生が訪ねて来る。赤シャツは古賀先生に、給与交渉が失敗したことを詫び、今より給与の高い延岡への転任案が出たが、赤シャツはこれを勧めなかった。しかし今もはる子のことを好いている古賀先生は、はる子の近くにいることが辛いと自ら延岡行きを志願する。赤シャツは古賀先生を引き留めるが、古賀先生の意思は固かった。
  • そして古賀先生は、先日のミューズの会で披露するはずだった『巨人引力』と翻訳した詩を赤シャツに渡して去る。引力を巨人の力に例えたその詩を、翻弄される自分の姿と重ねる赤シャツ。
  • 原作『坊ちゃん』では、赤シャツが古賀先生の意思とは関係なく延岡への赴任を決めてしまったとされているが、これも坊ちゃんが下宿先のお婆さんから聞いた噂話に過ぎない。坊ちゃんがこの件を赤シャツに問い正すと「下宿屋の婆さんの云う事は信ずるが、教頭の云う事は信じないと云うように聞える」と返される。ど正論。

 

  • 第四場。古賀先生の送別会で居たたまれなくなった赤シャツは、途中で抜け出し独り居間で涙を流していた。それに気付き声を掛けるウシ。
  • するとそこに、泥酔した吉川先生が小鈴を連れて訪ねて来る。夜分に上司の家を訪ねて来たばかりか、書斎に隠している酒を持って来いとウシを顎で遣い、終いには居間で寝始める吉川先生。こんな部下に四六時中付きまとわれながら、邪険にもできない赤シャツには同情する。
  • そして小鈴は赤シャツに先日の礼を言う。ここで、実はウシも息子を戦争で亡くしていることが明かされ、赤シャツは戦死したふたりの家族に対し敬意を示して頭を下げるのであった。
  • その様子を覗き見ていた武右衛門は、徴兵忌避をした赤シャツがふたりに頭を下げる資格はない!と赤シャツに飛びかかる。
  • 馬乗りになって赤シャツの胸を何度も殴る武右衛門だが、漫画だったら確実に「ポカポカポカポカ」という擬音が書き込まれるような、力のない子供のパンチだった。23歳が演じているとは到底思えない、そこには大人には敵わない小さな中学生の男の子がいた。
  • 武右衛門はまだ9歳の頃、赤シャツが徴兵忌避をした卑怯者だという噂を友達から聞かされる。赤シャツを尊敬していた武右衛門だったが、その噂が真実と知って以降は兄を軽蔑し、遂には陸軍幼年学校への進学を志願するようになっていた。

 

  • 第五場。四国新聞に堀田先生が生徒の喧嘩を堀扇動したという記事が載ったため、校長(おかやまはじめ)は武右衛門を校長室に呼び出し事情を聞く。
  • 武右衛門はほんの悪戯心で堀田先生を喧嘩に巻き込んだだけで、こんな大事になるとは思ってもなかった。しかし当の堀田先生は、赤シャツが弟の武右衛門を使って自分を陥れたのだと思い込む。
  • 堀田先生を慕っていた武右衛門が、堀田先生からは兄の手下だと思われていることを知ったら悲しむだろうな…とわたしまで悲しくなってしまった。堀田先生が一方的に赤シャツを嫌っていることは100歩譲って良いとして(良くはないが)、自分を慕ってよく遊びに来てくれていた生徒のことを何一つ理解していないのは教師としてどうなんだ。
  • 赤シャツはその記事を書いた福地記者(矢柴俊博)に記事を取り下げるよう交渉するも失敗、誰かが責任を取って辞めなくてはいけなくなってしまう。赤シャツは自分の弟が発端なので自ら責任を取ろうとするが、校長はこれを認めず、結局堀田先生が辞めることになる。

 

  • 第六場。武右衛門が朝食を食べているところに、小鈴が訪ねてくる。昨晩角屋に泊まった赤シャツが、明け方坊ちゃんと堀田先生に襲われたと聞き、心配で訪ねて来たのだった。しかし当の赤シャツはまだ帰ってきていない。そして小鈴は昨晩、赤シャツからプロポーズされたことを打ち明ける。
  • 話を聞きながら朝食を食べ進める武右衛門。白米とたくあんがまさかの本物で、もぐもぐ、ポリポリ、という聡ちゃんの生ASMRを楽しめてしまった。(圧倒的感謝ッ…!)
  • そこに、全身ボロボロの赤シャツが帰ってくる。こんな時間まで何をしていたのか尋ねると、遠山家に出向いて婚約して来たと答える。昨日の今日で何をやっているんだと呆れ返る武右衛門とウシ。
  • そして赤シャツは武右衛門に、陸軍幼年学校に入学できるよう校長に口利きして貰ったこと、父親の遺産を半分やるからそれっきりもう面倒を見るつもりはないことを話す。
  • 案の定ここで武右衛門はぶすくれるのだが、あんな騒動を起こして自宅謹慎処分になった上に、成績も良くない弟のため、赤シャツが頭を下げてくれたことに本来なら感謝するべきなのだ。
  • 小鈴がお妾さんでもいいから傍に置いて欲しいと赤シャツに懇願すると、はる子と婚約したのは嘘だと明かす。はる子は赤シャツの文学士という肩書きに惚れていただけで、今は別の男にご執心だった。
  • 赤シャツは「50年後、100年後はきっと僕のような人間ばかりになる」「そんな世界は嫌だなぁ」とぽつりぽつりと呟きながら涙を流す。
  • 赤シャツが何故こんなにも回りくどい事をしたのかは最後まで明かされていないが、人にいい顔をして生きることに疲れ果て、全てを清算しようとしたのではないかと思った。敢えて人から嫌われるような言動を取ることで、人を遠ざけようとしているように映った。しかし小鈴だけは、そんな赤シャツにそっと寄り添ってあげるのだった。

 

男らしくあれ、の呪い

『坊ちゃん』でも『赤シャツ』でも、赤シャツは周囲から「男らしくない」「女の腐ったような奴だ」などと詰られ続ける。

  • 逆に、赤シャツと対立関係にある坊ちゃん・堀田先生・武右衛門は「男らしい」の象徴として描かれている。
  • 3人とも「自分の道を信じ、人の顔色を伺わず、思い立ったら即行動に移す人」であるが、言い換えれば「思い込みが激しく、聞く耳を持たず、後先考えず暴力も厭わない人」なのである。
  • そんな3人を最後まで好意的に思っている赤シャツは、「男らしさ」というものに並々ならぬ憧れがある。
  • ラストシーンの「50年後、100年後はきっと僕のような人間ばかりになる」「そんな世界は嫌だなぁ」という台詞は、男らしい人間が生きづらくなっていく世界を憂いているとも取れるし、死ぬまで男らしくなれず他人の顔色を伺ってしまうのだろうかという赤シャツ自身の絶望にも取れる。
  • 個人的には思慮深い赤シャツのような人間ばかりの世の中であって欲しいと思うのだが、それはもうこの世が『坊ちゃん』から100年後の世界で、坊ちゃんのような人間は殆ど絶滅してしまったからなのかもしれない。

 

以上、赤シャツの観劇レポでした。

この日のソワレはけんしょりが見学に来ていたそうで、惜しかった〜!と思ったのも束の間、その3日後にブライトン・ビーチ回顧録を観に行ったら聡ちゃんと観劇被りをするミラクルが起きました。詳しくはまた次回。

『スタンディングオベーション』8月21日マチネの記録

2回目のスタオベ観劇で1回目では気付かなかったところや、公演毎のアドリブがわかったので、今回はそのまとめ。1回目の感想はこちらをご覧ください。

今回の座席は1階T列上手。前回2階K列下手と一番後ろの席だったので、当たり前だけど景色が全然違う!1階席はI列以降でしっかり傾斜があるのでかなり見易かった。

 

 

2回目で気付いたところ

  • 開演前の袖に刑事ふたりが来て公演を中止にするよう話しているところで、下手袖から顔だけ出して様子を伺う誠也(ジェシー)。段々と身体を出してきて、最終的に左半身を全部出して舞台側に大きく逸らしていたのは可愛かった。前回は舞台中央を双眼鏡で覗いていたのですっかり見逃していた。
  • 騒ぎになっているところにすぐには入って行かず遠巻きに様子を伺っている誠也を見て、まだ共演者やスタッフと距離を縮めきれていないのかな~とちょっと心配になってしまった。頑張れ誠也!

 

  • 吉川プロデューサー(有川マコト)に連れられ、女性係員に扮した陣内警部(寺脇康文)と加賀美(牧田哲也)が1階客席通路を通るところ。中央下手側扉(L3)から登場し、通路をまっすぐ通ってステージ付近まで移動。前に進みながら、陣内警部が列を確認しながら「U」「T」と体でアルファベットを表現したり、前方席(H列あたり?)で空席にダイブしたり、誘導灯をペンライトに見立てて誠也に手を振ってみたり、最前列に寝そべってシンクロナイズドスイミングの如く綺麗に片脚上げをしてみたりと、かなり自由だった。
  • 2階最後列からだとステージ付近まで来てくれないことには様子がわからなかったので、今回見れて良かった。それにしても、こんなに通路を動き回られたら否が応でもそっちを見ちゃうね。笑

 

  • 前回観てから2週間空いたのもあると思うのだけど、1回目よりもジョージ二世の凄みが増しているように感じた…!あとは杖を使って歩く姿も、より"老人っぽい"動きになっていたような。公演中に進化していくジェシーと誠也が重なって素晴らしかった。
  • アドリブのテンポ感がとても良くて、カンパニーの関係性の良さを感じる。陣内警部役の寺脇さんと息ぴったりなジェシーくんにヲタクにこにこ。

 

 

公演毎のアドリブ

加賀美のパンツの柄と舞踏会シーンで踊るダンス

  • 7日昼:緑とオレンジの柄パンツ、ソーラン節
  • 21日昼:白地に赤のハート柄のパンツ、盆踊り

21日はパンイチで上手に捌けていく加賀美に、誠也が「キュンです」と指ハート。ハート柄だとキュンですしてくれるの可愛すぎる。

 

誠也がトランシーバーでSATに一言

  • 7日昼:SATの皆さん、サッとやっちゃって!
  • 21日昼:SATの皆さん、わっしょい!

21日はそのあと陣内警部と向かい合って腕組みをし、ふたりでわっしょい!

そして「セクシー誠!セクシー誠也!」とセクシーポーズをキメる誠也。もしや…と思ったらなんと中島健人くんが見学に来ていた。都合の良い脳味噌なので、広めのソーシャルディスタンスを空けた自担との観劇デートってことにしました。Ahahaha

 

カーテンコール後、上手袖での一言

  • 7日昼:『マスカラ』が8月11日に発売です。よろしくね~!
  • 21日昼:手洗いうがいしっかりね。昨日の音楽番組見てくれた人〜?(挙手)格好良かったよって人〜?(挙手)ありがとうございます!じゃ、弁当食べてきま〜す。

カーテンコールで毎回一言話してくれるの珍しい!毎公演特別感があって嬉しいね。

 

 

以上、2回目まとめでした。