宝塚をお勉強し始めてすぐに観た月組『BADDY』で、美弥るりかさん演じるスイートハートの中性的な美しさに撃ち抜かれ、ブリリアホールに馳せ参じた。
結論から言うと退団後初の男役を演じる美弥さまはとっってもファビュラスだったし、まんまと宮田くんと仙名さんにも「好き…」となってしまった。(チョロヲタかい)
以下、あらすじと感想。
あらすじ
物語は取調室から始まる。鞄に入った1000万ドルの出所を黙秘するエダマメこと枝村真人(宮田俊哉)だったが、検事の北大路(加藤諒)と打ち解け、自身がアメリカで巻き込まれた壮大なコンゲームについて語り出す。
北大路は原作アニメには存在しないキャラクターなのだが、舞台化するにあたって過去(回想)と現在を繋ぐキーパーソン。
印象的なシーンと感想
- 幕が開いてまず目に飛び込んで来たのは、2階建てセットの屋上部にいるバンドメンバー。音楽劇ってそういうことか〜〜〜!と一気にテンションが上がった。
- 音楽劇とあるのでミュージカル並みに歌うのかな?と思っていたけど、実際の歌唱シーンは3ヶ所。
- 自首したにも関わらず、なぜか取調室で黙秘を続けるエダマメ。目を開けたまま眠ったり、わざと警察官を煽るようなことをする。そこに敏腕検事の北大路が登場。
- 冒頭から滝汗のエダマメにキュン。(滝汗属性ラブの民)
- エダマメは取調室で机を挟んで上手側に座っていたため、警察官にプイッとする度に1階上手側に視線を送ってくれ、何度も双眼鏡越しに目があったような錯覚に陥っていた。合掌。
- 北大路が好きな映画のワンフレーズを言ったことできっかけで打ち解けたふたり。北大路なら突拍子もない自分の話を信じてくれそうだとエダマメは供述を始める。
- 大真面目に話していても顔の圧が凄い北大路。加藤諒くんは存在がコミカル。
- 回想冒頭、浅草でのローラン(美弥るりか)はバックパッカー風のカジュアルな出立ち(モッズコートに白いスキニーパンツ姿)なのに、整った髪と品の良い顔立ちのせいか只者ではない感が溢れ出てて痺れた。あんまりにも美しいから下手から出てきた瞬間息を呑んだよね。薔薇背負ってるのが見えたもん。
- そんな外国人観光客風のローランから3万円を騙し取ったエダマメと工藤(福本伸一)だったが、同時にローランから30万円が入った財布を盗られていたことに気付き、慌ててローランの後を追うエダマメ。そこで彼はローランの口車に乗り、これからロサンゼルスで行う取引を手伝うことに。
- 英語を話している時は言葉が訛る設定のエダマメ。「〜だべ!」とベタな訛りを連発していても宮田くんが言うと鬱陶しくないから不思議。あとしょっちゅう標準語に戻るのによく言い間違えないな…と感心してしまった。
- 肝心の"取引"は、マフィアのボスであるエディ・カッサーノ(大谷亮介)に、日本人研究者が作ったと噂される合成麻薬"サクラマジック"の専売権を売るというもの。エダマメに架空の研究者を演じさせるためにローランはエダマメを巻き込んだのだ。
- カッサーノらの前でサクラマジックを口にしたアビー(山本千尋)のラリッた演技が良かった。関節なくなっちゃったの?と思うほどあり得ない身体の動かし方をするので感心していたら、アビー役の山本千尋さんは中国武術の世界大会優勝の経歴を持つ凄い方だった。
- 普段サバサバで武闘派なアビーが、取引相手の前ではぶりっ子を演じているのもキュート。ローランから直接サクラマジックを口に入れてもった時のあ~んの顔もめちゃくちゃ可愛かった。
- サクラマジックを本物の麻薬だと信じてしまい、パニックに陥って発砲してしまうエダマメ。マフィアから銃を奪ってぶっ放すことより、麻薬取引ダメ絶対!の気持ちの方が強いことから、彼の倫理観が破綻していることが伺える。
- 高級ホテルのラウンジで歌うポーラ・ディキンス(仙名彩世)が本当に素敵だった。今作で一番好きなシーンはここかも。これが元花組トップ娘役…!と震え上がる素晴らしい歌声だった。真っ赤なタイトドレスが似合う美しいスタイルも魅力的。目も耳も幸せだったな。(仙名さん出演の宝塚作品は花組『メサイア|BEAUTIFUL GARDEN』しか観たことがなかったので、オススメあれば教えてください)
- そしてラウンジのバンドメンバーに混ざりサックスを吹いてるフリをしているキム・シウォン(平田敦子)が可愛くてにこにこ。今年平田さんを観るのはでっけぇ風呂場で待ってます、道枝くん主演のロミオとジュリエットに続き3作目なので愛着が湧き始めた。
- 検事の北大路がエダマメの回想の中で自由に動き回ることで、北大路が興味津々でエダマメに質問をしている取調室の様子が思い浮かぶ演出だと思った。ただ本筋から逸れちゃうのと、メタ要素が強いので好き好みは分かれそう。わたしは好き。
- エダマメの宝物である武将ガチャの豊臣秀吉に扮して登場したときは会場中から笑いが漏れていた。縮尺すら超越してしまう自由さ。
- 路地で浮浪者に絡まれていたエダマメを助けたポーラ。ポーラ行きつけのダイナーに行くと店長に扮したキムがいる。
- キムがカウンターでキャベツ、チーズ、肉のリアルな小道具を使って美味しそうなタコスを作っていて、細かいところまで凝っているな〜とつい目で追ってしまった。
- ポーラにオーディションのアドバイスをしているうちに、カッサーノの信頼を得る方法に気づいたエダマメはレンタルビデオ店に駆け込む。
- 表舞台では映画プロデューサーとして有名なカッサーノだが、映画の評判はイマイチだった。夜通し彼の映画を観て心底楽しんだエダマメはカッサーノに気に入られ、無事契約は成立。
- しかし用心深いカッサーノは、"枝村真人"という人物が製薬会社に実在するのか確認したり、目の前でサクラマジックを作るよう命じたりする。全く信頼されてないけど大丈夫??と観てる側もヒヤヒヤ。
- ポーラとキム、毎度セットで出てくるから何でだろうと思っていたらFBI捜査官だった。
- ダイナーでエダマメと話していた時とはまるで別人な強い口調で、ローランとカッサーノ逮捕の協力を仰ぐポーラ。エダマメは冒頭から騙されっぱなしで、詐欺師のくせに人を疑うことを知らないんだな…と思った。
- ポーラがアンダーソン警部に協力を仰ぐために「別荘と娘さんの入学金の出所がばれたくなかったら…」と脅すシーン、ポーラがちょ~~~悪い顔してて格好良かったよね。
- そんなポーラ、パトランプを意識してか両手をクルクルさせながら登場するので、そこだけ見ると柳沢慎吾なのよ…ギャップがエグい。
- カッサーノに言われた通り、エダマメをアメフト観戦に連れ出すサラザール(三上一朗)。アメフトの会場ではホットドッグ売りに扮したキムが、注文されたホットドッグで2度もエダマメの頭を思いっきりぶん殴ったのには笑った。
- そして偶然サラザールの息子・トム(庄司ゆらの)に出会う。サラザールは自分の仕事はVIPのボディーガードだと偽っており、トムはそれを信じ父親を尊敬していた。
- 今年20歳になる庄司ゆらのさんが、8歳くらいのやんちゃな男の子にしか見えなくて。背が小さいのもあるけど、話し方が完全に海外ドラマ吹き替え版の男の子だった。フルハウスでステファニーの同級生として出てきても全く違和感ない感じ。
- アメフト会場でチアと一緒に踊っていた背番号22のウサギの着ぐるみが頭を取ると、美しい美弥さまのお顔が出てきてビックリ。Sexy Zooじゃん!と興奮したジャニヲタだった。(Sexy Zone Presents Sexy Tour 2017 ~ STAGEの"Sweety Girl"参照)(わかる人はわたしとハイタッチ)
- サラザールがトムについた優しい嘘を守るため、エダマメはポーラにサラザールだけは逮捕しないようお願いするが、そもそも自分が交渉できる立場にないのわかってる?とポーラに一蹴される。
- ここのポーラ、めちゃくちゃドスが効いた声で睨みを利かせるのでゾクッとした。
- エダマメがサラザールに肩入れするのは、トムとサラザールを自分と父親に重ねて過去の自分を救おうとしたのだと思うし、あまりに優しいエゴで泣けてしまう。
- サラザール邸の2階の窓から侵入したアビーが、ローランから預かったという"サクラマジックっぽいもの"を作るレクチャー動画をエダマメに見せる。
- ローランは深緑のスーツ姿も素敵だけど、このシーンの衣装がド派手で最高。ギラギラ輝くスーツに首元にたっぷりのドレープがあしらわれた白シャツ姿がま~~美しい!原作のイメージからかけ離れず、かつ美弥さまにピッタリのお衣装で素敵でした。
- そしてこの衣装で歌い出すの最高すぎて心の中でペンラを振った。あともしも美弥さまにファンサ団扇作るなら「ウインクして」だな…とか考えていた。
- この曲中ステージから人工的な甘いにおいが漂って来たので、キャンディーを作るシーンで甘いにおいがするのは夢の国じゃん!と思ったらただのスモークのにおいでわろた。
- カッサーノファミリーの立食パーティーシーン。上手側のテーブルにローランとアビーがいるのだが、ローランが本筋と全く関係ないところで言葉を交わすことなく視線だけで給仕をメロメロにしていてノッカーーーウ☆(CV.諏訪部順一繋がり)(うたプリの民でもあった人)
- 裏切り者をバットで殴る前に、大谷繋がりで大谷翔平ネタをぶっこむカッサーノ。大谷は左かぁ!とか言いながら素振りしてるのお茶目で可愛かった。なお顔はめちゃくちゃ怖い模様。
- カッサーノにバックハグをされたエダマメ、顎をつたってカッサーノのスーツにぼたぼた汗が落ちていて「おいおい…マジで殺されるぞ!」と心配になった。
- 終始滝汗のエダマメと、終始涼しい顔で飄々としているローランが役にピッタリハマっていた。
- 弁護士にも関わらず犯罪を犯した父へのコンプレックスを抱えながらも、病気の母を安心させるために就職したエダマメ。しかし就職先で健康食品詐欺に加担する羽目になり、生きていくために詐欺を続けるしかなくなってしまった。彼の中の倫理観が破綻しているのは恐らくこのせい。
- そして困っている人や弱い立場にいる人(歌手に扮していた時のポーラ、サラザールとトム、アビー)を放っておけない心根の優しい青年が本来の彼なのだと思うと、罪を償うために自首したのも納得。
- そういえば過去回想で、幼いエダマメを追いかける父親が駆け出した途端転んでしまうアクシデントがあったのだけど、全く動じず上手にはけて行ったから凄い…てなった。
- カッサーノのラボでエダマメが"サクラマジックっぽいもの"を完成させたタイミングで、ポーラとキムが警察を引き連れ突入。銃を発砲され、ローランもアビーも死んでしまう。
- マシンガンで全身を撃ち抜かれたときのアビーの動きが凄かった…物凄い勢いでカウンターの上を転がって行くのだけど、ハリウッド映画ばりのアクションで大興奮!
- ポーラはカッサーノに今すぐネットバンクに1億ドル振り込めば釈放すると取引を持ちかける。しかし本物のポーラ・ディキンスという捜査官は別にいて、彼女はローランと組んだコンフィデンスマンだった。これぞまさに、敵を騙すにはまず味方から。
- 気絶したエダマメが目を覚ますとそこは南の島で、死んだと思っていたローランもアビーもピンピンしていた。エダマメが警察に持参した1000万ドルは、山分けされた報酬だった。
- 浅草でエダマメがローランに声を掛けるところから全てローランの掌の上だったのだとわかるラストが爽快だった。
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あと紙幣型の落下物が大量に降って来るところ、景気が良くっていいな〜!と思った。(脳内BGMはSexyZoneのMoney Money)
- エダマメの供述を聞き終わった北大路が電話する相手もまさかのローラン。服役中のエダマメに整備の仕事をさせるよう頼んで終わる。出所後もまたコンゲームに巻き込まれるやつやん!続編やって!とテンション上がったよね。
- カーテンコールは3回。宮田くんは終始クシャクシャの笑顔で両手で会場中に手を振っていて、人懐っこい仔犬みたいでちょ〜〜キュートだった。キスマイ先輩の現場に入ったことはないけど、宮田くん絶対ファンサ手厚いタイプじゃん!と思った。
- 一方美弥さまはフッと口元を緩めた感じのクールな笑顔で、時折両手で投げキッスを飛ばしてくれてとってもファビュラスでした。やっぱり背中に薔薇背負ってるんだよな…流し目で微笑んでいるお姿にドキドキしちゃったよね。
- あと3回目のカーテンコールでバンドメンバーもステージに降りてきてキャストとわちゃわちゃしてる姿が微笑ましかったな。
以上、『グレートプリテンダー』の感想でした。エダマメと一緒に騙された2時間、とっても楽しかったです。続編上演待ってます…!!