'22宙組『カルト・ワイン』6月17日の記録

桜木みなと主演公演の情報解禁されたクリスマスイヴから今日まで、素手で葡萄を握り潰す衝撃の先行画像や、高級スーツに身を包んだ麗しのポスター画像に狂わされながらも何とか生き永らえて来た皆さん、お元気ですか。わたしは瀕死の重体です。

偽造ワイン、詐欺師、不法滞在者、投獄劇と不穏な単語のオンパレードなので、「第2幕でしんどいシーンが続くのでは…」と身構えていたのだけど、実際は笑って泣けて最後に大笑いできる、愉快痛快なハッピーミュージカルでした。全人類に観て欲しい。

 

以下、あらすじと感想。ネタバレしかしていません。台詞等は記憶の限りなので、ニュアンスでお楽しみください。

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あらすじ

最貧国ホンジュラスのマラス(ギャング)を抜けたシエロ・アスール(桜木みなと)は、幼馴染のフリオ(瑠風輝)とその家族と共にアメリカに渡る。

幸運にも一つ星レストランで働けることになった彼らだったが、確かな舌で本物そっくりの偽造ワインを作る才能を開花させたシエロは、フリオと道を違え、元マラスの実業家チャポ(留依蒔世)の下でカミロ・ブランコとして生きていく。しかしそんなシエロにも捜査の手が伸びていた──。

 

印象的なシーンや感想

第1幕

  • 本作は第1幕、第2幕ともにオークショニア(風色日向)の語りで幕が開く。観客を狂乱のヴィンテージワイン・オークションの参加者として物語に引き込むストーリーテラーがナニーロくんなのめちゃくちゃ良い〜!!魔法の杖の如くガベル(木製ハンマー)を振りかざす姿がとってもキュート。
  • 紳士淑女が踊り狂う中、桜木さんの美麗開演アナウンス(拍手喝采)→アナウンス終わりでステージ2階部分に白スーツのカミロがスポットライトを浴びて登場!何か天を仰いでる!めちゃくちゃ格好良い〜!そしてポスター画像そのままの開襟具合。心臓がもたない。
  • ここ、ニューヨークの夜景をバックに登場するので「Nissy Entertainment!!?」と沸いた。同じことを思った方がいたらブリリアホールで僕と握手。
  • ちなみに3階下手席からだと、上手から2階部分にスススと移動する桜木さんが見え隠れするので「来るぞ来るぞ…キタ〜〜〜!!!」となりとっても楽しいです。
  • 主題歌のサビで ♪狂乱のオークション〜〜 と公演解説のフレーズをそのまんま使っているのがキャッチーで良い。曲に合わせた椅子やパドル(番号札)を使ったダンスもキレッキレで最高。そんな華々しい冒頭から流れるようにFBI捜査官トミー(秋奈るい)によるカミロの正体の暴露、逮捕、報道、法廷へと続く。カートゥーンに登場するキャラクターのような出で立ちのキャスター(花菱りず)がセンセーショナルな報道を行うことで、重苦しくさせないどころかコミカルで楽しいワンシーンに。
  • 法廷で、「僕……いや、俺の」とカミロからシエロに切り替わる瞬間の表情が堪らない!贔屓のニチャァ笑いが健在で元気になるヲタク。

 

  • 法廷からホンジュラスへの場面展開を筆頭に、本作は場面転換にワッー!と人が入って来て入れ替わる→すぐに歌がスタートという展開が多い。華やかで良いね。
  • クラブで料理上手の店員として認知されているフリオがバレアーダ(ホンジュラス料理、小麦粉のトルティーヤ)をオーダーされ、「いつものと比べて、どう?」とわくわく顔でバレアーダを提供するも、「相変わらず美味しい」と返されガッカリ。眉毛がハの字になるフリオ可愛い〜。
  • しかしシエロは一口で味の変化に気付く。「そうなんだよ!肉の臭み消しにスパイスをほんの少し足してみたんだ!」と嬉しそうに話すフリオに「少し苦くなった、前の方が良い」と一蹴。舌が敏感なシエロくん。
  • 本筋からは逸れるのだけど、カミロのタトューがポスター画像やパンフレットの中身と鏡になっているのは何故…?桜木さんが当日に鏡を見ながらタトューシールを貼ったら逆になっちゃった、みたいなオチだったらめちゃくちゃ可愛い。
  • あと、シエロの時の粗暴な話し方がめちゃくちゃ癖(へき)に刺さる。なんせここ最近だとバロンの末裔のリチャードが1番好きだった女なので…口が悪くて顔に全部出ちゃうけど情に熱い青年、良くないですか…?品のある男にはない野生味って言うのかな。
  • シエロはフリオの実家の食堂がマラスへの上納金を何度も滞納していることから、マラスに入ればそれも免除されると誘うも、「その話はもう二度とするなって言ったろ!」と遮られる。ホンジュラスで清く正しく美しく生きる男、それがフリオ・マラディエガ──。
  • シエロとフリオは幼馴染であり、搾取する側とされる側でもあるんだけど、シエロの情の深さが垣間見えるからここのやりとりは全くストレスじゃない。シエロは生きていくためにマラスにならざるを得なかっただけで、心根は優しい青年だから。
  • マラスから初めて銃を支給されたシエロは、明日までにフリオの父親ディエゴ(松風輝)を殺して来るよう命令される。
  • 「俺を息子のように思うなら、俺のために死んでくれ!」とシエロから銃を突き付けられても動じないどころか、「撃ちなさい」と静かに返すディエゴ。シエロがお母さんのお腹の中にいた頃から彼を知るディエゴは、それはシエロの本望ではない、彼は引き金を引くことはできないと確信していたからこその行動で感服。
  • 引き金を引く勇気も度胸も無いと崩れ落ちるシエロに、「そんなもの無くっていい」と寄り添うフリオの妹・モニカ(美星帆那)の優しさに泣ける。

 

  • マラスから逃れるため、シエロとマラディエガ一家は不法移民としてホンジュラスからアメリカへ向かう。荒野や川を4枚の長い布で表現しているのは流石の一言。
  • 道中、タトゥーからマラスにいたことがバレて移民仲間から追放されそうになったシエロを必死に庇うモニカ。モニカが雨に濡れないようにグッと抱き寄せ、ふたりでレジャーシートを被るシエロ。こんなのもう絶対両想いじゃん!と胸が高鳴ったが、2人はどうにもならないどころかアメリカに着いた途端モニカは登場すらしなくなる。想像するに、シエロはマラスで直接手を下していなかっただけで自分の手は汚れていると思っていて、だからこそ女神のように清らかなモニカに深入りすべきではないと線を引いていたのかなと思った。じゃなきゃどう考えてもモニカが正ヒロインなんだよな〜。
  • ディエゴから木製の十字架(銀製のキリスト付き)のネックレスをお守りとして譲り受けたシエロ。夢を聞かれて照れ隠しでそっぽを向きながら寝転がるところの表情が可愛い〜!そして小さなお尻が客席にこんにちわ〜!
  • 強盗から身を挺してモニカを守り倒れたディエゴ。最期の瞬間まで子どもたち想いの優しい父親で、「お前たちは若い。間違っても、迷っても、人生は何度でもやり直せる」という台詞に思わず涙。
  • ディエゴの死と共に暗転、客席側がスポットで照らされ舞台上は全く見えなくなる。この照明の使い方が印象的だった。

 

  • 場面は変わりアメリカ。日雇いの仕事がなかなか見つからず魔が刺したシエロは、見るからに金持ちそうな男・チャポのボストンバッグを盗むも、すぐにバレて手下に追い回される。
  • 下手側の街灯をグルグル回るシエロとチャポの手下の作画が完全にトムとジェリー。しかし仲良く喧嘩しな♪とはいかず、ボコボコにされるシエロとフリオ。
  • テイクアウトカップのアイスコーヒーを飲みながらセット裏に回ったチャポが表に出て来ると、ちゃんとアイスコーヒーの量が減っている。他にも、ワインを注ぐシーンで赤いゼラが巻かれたグラスと上手く交換していたり。コロナ禍で舞台上で液体を注いで飲むことができないとはいえ、決して演出に妥協をしない栗田先生の姿勢が垣間見える。
  • シエロが元マラスと分かり、自分も元マラスであることから打ち解けるチャポ。食うに困ったらここに連絡しな、とシエロに連絡先を渡す。しかし「マラスにはもう関わるな!」とそれを破いて投げ捨てるフリオ。拾い上げるシエロ。投げ捨てるフリオ。コントみたいな軽快なやりとり。
  • すると今度は上手から大量の缶詰が転がって来る。フリオが缶詰を拾い集めている最中にこっそりチャポの連絡先を回収するシエロ。だからメモは燃やさなきゃダメなのよ!!と心の中で叫ぶわたし。
  • 缶詰の落とし主はメキシカンフードフェスティバルに出店する屋台の店長(澄風なぎ)だった。食べにおいでという誘いに、シエロ「おごりですか!?」フリオ「これ(缶詰が入ったケース)を運んだら、おごりですか!?」シエロ「(金に困ってるのか?に)働かせてもらえませんか!?」フリオ「(料理は)できます!」シエロ「…少しだけ🤏」と怒涛の展開でお仕事をゲット。「「うまい話、転がってたな〜!!」」とキャッキャしながら下手に捌けるシエロとフリオがとっても可愛い。親友パワー炸裂!

 

  • 屋台で働くシエロとフリオもメキシカンコスチュームでとっても可愛い。
  • ナチョスを買いに来たアマンダ(春乃さくら)に一目惚れをしてしまい、目を爛々と輝かせたまま立ち尽くしてしまうフリオ。可愛いか〜〜〜!!一方シエロは怪訝な顔をしているのも良い。
  • どのサルサソースがおすすめかという質問に適当に返したシエロに「使えない子」という烙印を押したミラ(五峰亜季)。冷静にとんでもない客である。
  • この後、サルサソースを試食したシエロは隠し味のソイソースの存在に気付き、「舌は俺の方が優秀だな!」とフリオにドヤ顔をする。可愛いね〜。でもシエロが「馬鹿にして来る奴を見返してやりたい」という反骨精神を抱いたのはミラの一言がきっかけだったのでは?
  • アマンダたちに突っかかってきた酔っ払いを見事撃退したシエロ。人を助けるために後先考えずに身体が動いてしまうタイプの男、惚れちゃうよね…わかるよアマンダ…2人のダンスを悲しそうに見つめるフリオが切ない。

 

  • 季節の巡りを赤鼻のトナカイを歌う少女で表現してるの、良いよね。その後ろを歩く夫婦が上手に捌けながらしている会話はアドリブなので必聴です。りずちゃんがイキイキしていて大変良い。
  • ゴミ出し姿すら格好良くなってしまうフリオ。腰エプロンが良く似合う。罪深い。シエロとアマンダが2人でセラーに入って行ったと聞き走るフリオ、脚が長すぎて秒で下手に消える。
  • ♪フレッシュなストロベリー、熟したダークチェリー、スミレにタバコ〜〜 の歌詞、全部桜木さんに関係のあるものが並んでてゾクゾクした。タバコだけ違うと思ったらこの後喫煙シーンもあるし。あとストロベリーの発音が異様に良くて好き。
  • アマンダの「生意気な生徒ッ」に対して「可愛い先生」と返すシエロから、アマンダからの好意を泳がせながらも有益だから手放さない感じがちゃんと醸し出されてて良いんですよね…悪い男だ…(好き)
  • あとアマンダがシエロを「ブルゴーニュ」に喩えたところで、脳内の桜木さんが ブルゴーニュの森の奥で〜ふたりそっとキスした〜〜 と歌い出したもんだから、ふたりがキッスをしてしまうのではないかとフリオと一緒にドギマギしていた。

 

  • アマンダからプレゼントされたスクリーミング・イーグルをモニカの病院代の足しにするため、チャポに売ろうと言い出すシエロ。ここで拾っておいたチャポの連絡先のメモが登場。フリオに破かれていたのにちゃんと繋ぎ合わせたんだね、可愛い。
  • チャポの事務所でタメ口をきくシエロに「です!」と語尾を直すよう強要するミゲル(真白悠希)に思わず笑った。
  • チャポから1本2,000ドルでワインを買い取って貰えたシエロ。心房中核欠損症であるモニカの手術代に6万ドル必要になったと聞いた時の「あと30本売れば良いんだな」のダークヒーロー感が堪らない。
  • シエロ「バレない浮気は浮気じゃない!」フリオ「見抜けない嘘は嘘じゃない!」と偽造ワインの制作を開始。ここの台詞ずんもえに全然似合わなくて面白い。様々なワインや調味料を持ったウェイター姿のコロスたちが、私を選んで〜!とアピールするところめちゃくちゃ好き。想像の1227倍愉快なワインの調合シーンだった。
  • 香ばしい塩味が足りないと頭を悩ますシエロに、「塩?」「焼いた塩?」「…ソイソース!」と一生懸命アドバイスするフリオが可愛い。
  • 結局、液面の状態からチャポには一発で偽物だとバレてしまうが、本物そっくりの味が認められ、チャポの元で偽造ワインを作らないかと誘われる。
  • そこでシエロは、料理人になるという夢を持つフリオを突っぱね、レストランを辞めチャポの手下になると宣言。前借りだと6万ドルの小切手をチャポから受け取り、そのまま「んっ」ととなりのトトロの勘太の如くフリオに小切手を突き出すシエロ。やり方が不器用なんだけどめちゃくちゃ男前やん…いや不器用なのが良い…。幼馴染の妹のために多額の借金をした上に犯罪者として生きる道を選ぶとか、お人好しにも程があって泣ける。

 

第2幕

  • 再び下手から登場したナニーロくんが「たっぷり休憩は取れましたか?」と1階席のご婦人に問い掛け笑いを取る。自然と拍手が起こるの、ハッピー空間で良いな〜と思った。
  • オークションの余興でブラインドテイスティングをして見事5つのワインを言い当てたカミロ。景品のロマネ・コンティ1945はお飾りのつもりだったのよ、まさか全て言い当てる御仁が現れるなんて、と話し掛けるミラの目のベタッと纏わりつく感じが上手い。あなたにとっても興味があるの、という好奇の目ね。
  • ブラインドテイスティングでその舌を認められ、グランピー・ガイズの集いに誘われたカミロ。ここの場面転換で、上手下手からとんでもない勢いで長卓が出てくる。凄い。
  • 自慢のワインを持ち寄って、文字通り「殴り合い」が始まるとは思わなんだ。ウェイターが七面鳥に見立ててグローブを運んで来るところからして面白いし、ロマネ・コンティ1945を出したカミロに拍手を送るタイミングで、コロスたちがサッとグローブを取り去る→自分に着けて踊るの流れが秀逸だった。赤コーナーと青コーナー、ボードを掲げるラウンドガールまでいるのも面白い。
  • ロマネ・コンティ1945のボトルにキスするカミロ、ラスソン獲ったホストみがあってよかったな〜〜!GIFにしてずっと眺めたい。
  • 運転手に扮して迎えに来たミゲルが、紳士的に振る舞うカミロを見て「なんだぁこいつ、気持ち悪い」みたいな顔してるのも、無言でいいから行くぞっと睨み返すカミロも良い。
  • 「なんだ、グランピーなのかよ〜」とミゲルの頬を人差し指でぐりぐりする上機嫌なカミロ、歯茎剥き出しな満面の笑みで可愛い。真白くんに絡めて嬉しいただの桜木みなとでときめく。

 

  • ネバセイで勇敢な女戦士だったルイマキセが、極悪人のチャポを演じてるのも良い。過去回想の1人語りが完全にご褒美タイム。
  • そしてルイマキセに気を取られていると、下手からテーラーとシエロが登場。シエロの姿だと高級スーツが絶妙にしっくり来ないのも凄い。普段どんな衣裳だって着こなしてしまう桜木さんが、わざと「そう見える」ような立ち振る舞いをしてるってことだもんな…。
  • どうでもいいけどシエロの鬘のこめかみのアメピンが見えるのが個人的にツボです。伸ばした髪を毎日アメピンで止めてるシエロを想像しただけで飯が美味い。

 

  • シエロがカミロとして生き始めた10年の間に、フリオは新しい支店を任されるまでに成長していたのが泣ける。ちゃんと夢を掴んだフリオ。カルロスからアマンダとの結婚を認められるくらい信頼されているのも、実直なフリオらしさが伝わるよね。
  • 下見会のシーンに移る際、下手からナニーロくんがサックスを吹きながら(正しくはフリをしながら)出てくるの優美で良い。
  • ゴールデンハンマー社が開くワインの下見会に訪れたアマンダがナンパに遭い困っていると、カミロは得意の話術で会場からナンパを追い出す。ここ、カミロはナンパに遭っている女性がアマンダだと気付かずに咄嗟に助けてるんだよね…やっぱり根はお人好し。
  • 困ったところにミラが現れカミロを掻っ攫って行くのも、「またコレクションを増やす気?」と茶化しているのも笑った。ミラグッジョブ。
  • 遅れて下見会に到着したフリオがカミロに遭遇するところ、2人きりになった途端にカミロからシエロに戻るのが大変良い。そして足を洗って俺のところに来いと本気で思っているフリオに対して、「今更お前の下で皿洗いでもしろって?」と嫌な態度を取るシエロは、10年間ですっかり価値観が歪んでしまっているようにも、もうカタギには戻れないと諦めきっているようにも見える。
  • オークション会場でアマンダに再会し、初めはシラを切っていたカミロだったが、シエロに違いないとヒートアップしたアマンダの口を強引にキスで塞ぎ、アマンダの言葉を「熱烈な告白」と返すのめちゃくちゃに悪い男で泣いた。フリオから結婚報告をされておめでとうと言った口でよ。なんてこと。この10年でどれだけ女を弄んできたのだろう。堪んね〜なぁ〜〜!(最低)
  • 場面転換後、暗闇となった0番に舞い落ちる紙吹雪。フィナーレ用のが誤射されたのか…?と思っていたけど、正しくは狂乱のオークションシーン終わりで発射されるものでした。後半ずっと舞台上に紙吹雪が広がってるのも珍しい。

 

  • オークションへの大量出品後、ボロが出てしまいカミロが出品したワインは偽造品では?と捜査が始まってしまう。
  • 顧客の前ではカミロを庇ったミラだったが、自宅にカミロを呼び出しふたりでワインを嗜んだ後「あなた、ナチョスを作るのが得意でしょう?」と10年前のメキシカンフードフェスティバルの出来事を話し出すの怖すぎないか??取り繕うことも出来ず固まってしまうカミロの反応が正しい。普通はそこが線で結ばれないのよ。
  • 煙草を吸い出すミラにカミロが「味がわからなくなりますよ」と声を掛け、ミラが「いいのよ酔えれば」と返すのは、カミロという人物が偽物(一流の男ではない)だとしても今夜楽しませてくれればそれでいい、という比喩も含まれているのかなと思った。タバコ越しの間接キスで沸いていたら、カミロがミラをソファに押し倒して熱いキスをしたので死にました。今回まともなキスシーンがない(褒め言葉)
  • あと、カミロの開襟具合で素の自分(シエロ)を曝け出しているかがわかるのも面白い。過去回想冒頭のシエロはペラペラの柄シャツをガッツリ開襟。一方カミロの時はブラウンとボルドーのストライプのスーツや、アッシュブルーのスーツに合わせてかっちりネクタイを締めているが、素の自分(シエロ)を見せれる相手の前ではネクタイを緩める。ミラに呼び出され正体が暴かれた時はガッツリ開襟+スカーフの姿で、FBIに正体を暴かれた最後のオークションもそのスタイルだったのは、この辺からボロが出始めてカミロとシエロの境界が混ざり出してるから?「胸の内を明かす」という言葉があるけれど、それを額面通りに衣裳に落とし込んで来るなんて。タトューがお飾りではなくちゃんと意味を持ち続けているのも素晴らしい。

 

  • 取引先と会っていたと嘘をつき夜な夜なシエロと2人で会うアマンダと、シエロと再会してからどんどん綺麗になっていくアマンダの気持ちを察して酒に溺れるしかないフリオ。それでもアマンダを愛するフリオに対して、「なかったことにはできない」とプロポーズを反故にするアマンダ、お前は鬼か。
  • ミラに素性がバレて強請られている、しばらく出品は控えようとチャポに相談するも一蹴されてしまうシエロ。偽りの富と名声を手に入れ気が大きくなっていたが、自分の意思では舞台から降りることすらできないチャポの操り人形に過ぎなかった。
  • チャポのワードチョイスがとにかく秀逸で、シエロの偽名を「カミロ・ブランコ(=完璧な純白)」にしたことや、「神様からのGIFT」「葡萄畑の肥料にだって出来る」ってもの凄い語彙力。裏社会の広辞苑って呼んでもいい?
  • ディエゴからもらった木製の十字架にナイフで何かを刻むところ、うわ言のように歌っているのも相まって感傷的な雰囲気がすごい。

 

  • 最後のオークションが始まる前、フリオからもう一度止められたシエロが、「役者の都合で幕は下ろせない」「下ろせるとしたら…役者が舞台上で死んだ時?」と冗談ぽく笑うのだが、ジャニヲタの方の人格が「Show must go on!Endless SHOCK!コウイチーーー!」と絶叫するのであった。頼むから首から血を吹いて階段落ちなんてするなよシエロ…!
  • FBIに逮捕され、法廷で「自分の価値は自分で決めるもの。人に決められたり、認めさせるものじゃない」と気付くことが出来たシエロ。やっと目が覚めてよかった。
  • 最後のオークションの前フリオに託した十字架に刻んでいたのは、隠し財宝の在処でした〜!というオチなのも良い。
  • 面会室で「俺が出所したらそれ(財宝)を持ってこい、そしたら仲直りだ」「祝い酒も持って行くよ」「ワインだけは勘弁してくれ」で終わるのも投獄劇とは思えないコミカルさ。ずんもえの固い男の友情で幕が降りるの最高かよ。
  • シエロの囚人服はオレンジのつなぎで、左胸に囚人番号「122795」、背中には黒文字で「PRISONER」でした。囚人服すらスタイリッシュに着こなしちゃう桜木さん、好きだ〜!

 

フィナーレ

  • ミラーボール、色とりどりのスポットライトで照らされる中、0番奥にシエロがひとりで登場。紫のハット、サングラス、ピンクのファーを纏って沢田研二の『酒場のDABADA』を歌い出す。誰がこんなパリピなフィナーレを予想していたか。
  • 娘役に囲われハーレムに。途中アマンダの太腿〜胸までをえっちな手つきで撫で回し、最後はグッと引き寄せてキス。
  • そこで男役たちの登場。被っていた紫のハットをアマンダに被らせたと思ったらフリオの方にドン!と押し出すシエロは、そのまま前に出てきて男役たちと爆踊り。フリオにも歌唱パートがあるのも、バトンタッチする際にフリオの顔にグッと顔を寄せるシエロの表情も最高で、ありがたや〜!と拝み倒したずんもえの民。
  • そして左襟をグッと掴み、嘘みたいにしっかりタトゥーを見せつけて来るシエロ。咄嗟に頭に浮かんだのは「死…???」だった。語彙力0。思い出しただけでクラクラするくらい格好良かったな…おかげでフィナーレの記憶が結構フワフワです。
  • 曲終わりでそのままパレードへ。組子を前に送り出しながら0番奥でわちゃわちゃ踊り続けるずんもえさくらの図が最高。
  • もえこちゃんを笑顔で送り出したあとすぐセット裏に回り、ステージ2階部分から登場する桜木さん。階段降りないかと思ったらあったよ〜!羽根の代わりにド派手なピンクのファーを纏って降りて来たよ〜!
  • カテコは3回。ワインに掛けて「お味はいかがでしたか?」「お帰りの際は千鳥足にならないよう足元にお気をつけて」と挨拶をする桜木さん、御後がよろしくってよ〜〜!!カテコの捌け際に両手で投げキッスを飛ばす姿が可愛すぎて死にました。現場からは以上です。

 

おまけ:主題歌サビの歌詞を貼っておきます。みんなで歌おう〜!